お隣さんの罠【センラ】

可能性 ページ8

.


『……………タイミング、良いですね、ははは…』



本当、なんてタイミングだ

エスパーなんかこの人



「ほんまやな〜、てか財布持ってどしたん？」

『うえ！？………あ、お、お酒、買いに行こうと…』

「あー、ええよええよ、うちにあるから」



しっかりしなさい私、変な声を出すんじゃない


心の中で自分にビンタして、「どうぞ」と、扉を開けて待ってくれている彼の部屋へ

足を踏み入れる前に、一度立ち止まる



「どしたん？」



往生際の悪さが、ここに出た



が、それが仇となった



『………お、お腹が、痛くて…』


やっぱり今日は無しに、そう言い切る前に、



『うわっ！！』


無言で玄関に引っ張り込まれました


背中には扉、目の前にはどストライクイケメン



めちゃめちゃおいしいシチュエーションなのだろうが、今の私にとったら四面楚歌



「お腹痛い？」

『い、』

「嘘ついたら段階踏むのやめる」

『いいい痛くなくなりました！お邪魔します！！！』



思いっきり嘘を吐こうとしたのを寸出で飲み込んだのは、恐ろしい宣言と共にセンラさんの指が私の頬を撫でたからである


やっぱりこの人、危なすぎる

そして顔が良すぎる


距離を詰められたらもう成す術なくなるんだけど……


まさか自分の一目惚れフィルターを恨む日が来るとは




『どうしよ本当……』


結局、部屋に入っちゃったし

私より二枚も三枚もうわてな彼から逃げる方法なんて、全くもって思いつかない



「冗談やのにそんな必死に逃げんでも」


うわ、なにその笑顔素敵すぎる



………じゃなくて



『揶揄わないでください』

「じゃあ嘘つかないでくださいー」

『う………嘘じゃ、ない……はず…』

「そんな警戒せんでも、多分なんもしやんし、別に今すぐ好きになれとは言わんから大丈夫やで」



………本当に

見た目だけじゃなくて、彼の全部を好きになってしまう日が、来るのだろうか



こんなことを思っている時点で、やっぱり現段階での交際は良くないと思うんだけど




とりあえず、


『……………多分っていうの、取り消してください』

「ばれた」


.

終わり ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)

←一人作戦会議

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す