堕ちる 19 ページ20
「うーん…」
施設の案内をしてもらった次の日の事。
私はクローゼットの前で首を傾げ、眉を顰めていた。
もう15分くらいこの状態が続いている。
「服装には気をつけてくださいね」というショッピ様の言葉に私は惑わされていた。
言葉の意図が理解出来ない。似合っていないという意味かと思ったが、ショッピ様は服装を褒めてくれた。
だから余計に分からない。
「A様…あの…そんなに悩まれなくても大丈夫ですよ?」
「え、あ、ごめんなさい」
「いえ、謝らないでください。こんなにお洋服があるんです。悩むのは当然です。…でもそんなに深刻そうに悩まれる必要はありませんよ」
そうウグリシナさんに言ってもらえたが、私の悩みは一向に晴れない。
私はただでさえ礼儀作法を知らないのだ。服装くらいはしっかりしなければ…
「あっ!そうだ!A様?もしA様が良ければ私が選んで差しあげましょうか?」
「いいんですか?」
「はい!もちろんです!」
「じゃあ…よろしくお願いします」
「はい!お任せ下さい!」
ウグリシナさんはクローゼットを探る。
「あっ!これ素敵です!A様に似合いそう!」
そう言ってウグリシナさんが取り出したのは白のブラウスとミルクティー色をしたロングスカート。
「このスカート、私達メイドのスカートのデザインと似てますね。お揃いみたいでなんだか良いですね!」
「…おそろい」
「…あっ、ご、ごめんなさい!嫌ですよね!メイドとお揃いだなんて…!すぐに変えます!」
ウグリシナさんは慌てて服をクローゼットに戻そうとする。
私はその手を掴み止める。
「そんな事ないです!むしろ!…えっと…その、なんていうか…お揃い…嬉しい…です…」
私はそう微笑む。
「…A様。ようやく笑って下さいましたね」
「え?」
「あ、突然変な事言ってごめんなさい!…昨日、紅茶を飲んでいる時もご飯を食べている時も寝る前も1度も笑みを見せられなかったので心配だったんです。
辛い事があって笑えという方が難しいのは分かっています。でもA様には笑って欲しかったんです。
A様の笑顔はとっても素敵ですね!ウグリシナ、A様の笑顔が見れて嬉しいです!」
「ウグリシナさん…そんな風に思っててくれてたんですね。心配させてごめんなさい」
「いえいえ!さ、お洋服着てみて下さい!」
「はい、ありがとうございます」
私は服を着替え始めた。
少しだけウグリシナさんと仲良くなれた気がした。
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明日花(プロフ) - このようなめっちゃめちゃいい作品があるからこのアプリはやめられない!読み終わったあとすぐ一番右のお星様を押しちゃった、、、好きです! (2022年2月13日 7時) (レス) id: 6f8c950d7b (このIDを非表示/違反報告)
シュネー - あ、もう、好きぃ……………。は?もうストライクスリーアウトなんだが。最高かよ。(褒めてる) (2022年1月24日 22時) (レス) id: 1ee7840ed0 (このIDを非表示/違反報告)
陽華 - いつか、pink物となる。私の予感 (2020年9月22日 12時) (レス) id: 4fefb0da81 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の散歩 - ドストライクすぎて逆に鳥肌…。めっちゃハマります!あ、お星さまちゃんと右端押しときました! (2020年5月19日 22時) (レス) id: 7ad76e25a2 (このIDを非表示/違反報告)
ももか(プロフ) - ドストライクな小説(^ω^)主人公の年齢ってどのくらいなんですか? (2020年5月19日 10時) (レス) id: 7fd9de27a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:KIBA | 作成日時:2020年5月1日 18時