焦った後の失敗（正門/大晴,空野、誠也/大晴） ページ37
(大晴side)
『たいちぇ、プール行こう』
大晴「今から？」
会場での前日リハ行く前に、
1〜2時間早くAの寮に行った。
そしたら、Aが急にそう誘ってきて…。
『ちょっとだけでええから、行きたい〜』
大晴「今から行っても30分居れるかどうかやで。
やめとこ」
それに、リハの前にプールとか、
体力どんだけあるん？
『泳ぐの教えて…！』
大晴「それはええけど、今日やなくても…」
『今日がええの〜』
Aにそんなおねだりする顔されて、
腕にすがりつくみたいにされると
断りづらい。
大晴「また違う日に…」
『たいちぇ、おねがい〜…』
大晴「今日やなくてええやろ」
『今日がええのー』
大晴「……わかったわ、ちょっとだけな」
『やったぁ！』
俺の答えを聞くなり、
プールバッグ持ち出すA。
大晴「もう用意できてるん？」
『いつでも行けるように用意してある…！』
大晴「準備万端過ぎる…笑」
仕方ないからAを近くのプールに連れてった。
『たいちぇ、泳ぎ方教えて』
Aはギリギリ足着くかどうかのプールで、
プールの端に掴まって楽しそうに言う。
大晴「ええよ、A、泳げへんの？」
『おん、全然』
大晴「でもプール好きなん？」
『好き。たのしいやん！』
そう言うAの笑顔が弾けてて、
めっちゃ楽しそうやったから
夢中になって、
最初は俺が「30分経ったら帰るで」
言うてたのに、
俺も時計見るの忘れてて、
大晴「少し休憩する？」
『おん』
って時計見たら気づいたら1時間以上経ってた。
大晴「アカン、Aっ、時計見てみ！」
『え！もうこんな時間経ってたん！？』
大晴「絶対遅刻やっ」
『ヤバイヤバイヤバイ…！』
慌てて溺れそうになるAを
背中に乗せてプールサイドまで急いだ。
上がってシャワーだけ浴びて
着替えてダッシュした。
『アカン、絶対遅れるやん…！』
大晴「ホンマや、楽しみすぎたな…」
ライブ会場でのリハに遅れるなんて、
絶対怒られる。Aの手を引いて走りながら
そう思ったら、遅れるて連絡もできんかった。
だって電話して何て言うん？
Aとプールで遊んでたら時間見てへんかったとか、
絶対言えへん。
電車乗ってるとき、
まっさんから電話かかってきて、
とっさに出てしまって
「Aと一緒に寝坊した」って
嘘ついた。「何してんねん」って
呆れられながら電話はすぐ終わった。
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作者名：めぐみ | 作成日時：2023年3月27日 15時
