付き合えただけで奇跡だと思ってる彼女と五条先生 (ページ7)

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翌朝目を覚ますとそこにはもうあの人の姿は無く、スマホに数件メッセージが来ていた

五条さん朝一緒にいられなくてごめんね

五条さん休みの連絡は僕が代わりにしといたからゆっくり休んで

なんてできた彼氏なんだろう
幸せだなぁ
こんな人と付き合えたなんていう素敵な夢が見れて
私は幸せ者だ

そう自分に言い聞かせれば言い聞かせるほど溢れてくる涙に、昨日を思い出す余裕もなく私は再び目を閉じた

次に起きたときにはもう夕方で、相変わらずだるい体を起こし昨日のシチューの残りを温める
洗面台に行って顔を洗うとなんともひどい顔の私がいて、余計に惨めに感じられた
昨日はほとんど味のしなかったシチューの味を噛み締めながらこれからどうしようかと考える

まずそもそも私があんな素敵な人と付き合えた事は奇跡で、今現在彼女というポジションいられているのはあの人のおかげ
ならばもう答えは決まっている
あの人の気が済むまで彼女でいればいいのだ
そうだ
簡単なことじゃないか
せっかく掴めたこの奇跡
自ら手放すだなんてことが私にできるはずも無いのだし、今はこの五条さんの彼女(セ○レ)という立場に甘えていよう

なんて他人任せで自己中心的な考えなのだとは思うけれど、終わりが来ることを意識していなければ、またすぐに私は夢を現実と勘違いしてしまうから

A返信遅くなってしまいすみません

A連絡ありがとうございました

割り切ってしまえば案外楽なものだなと思いながらトーク画面を眺めていると、突然鳴り響く着信音

「え、あ、はいもしもし」

「もしもし？僕だよ、突然ごめんね」

その声に心臓がどくんと跳ねる

「あ、五条、さん。いえ全然大丈夫です、ご用件はなんでしょうか」

「なにその仕事中みたいな喋り方ー！まあいいけどさ、電話かけたのは体大丈夫だったかなって」

なるほど、アフターケアは万全ということか

「ご心配ありがとうございます、もう大丈夫ですので」

早く終われ早く終われ早く終われ早く終われ

「そう？良かった。昨日Aが可愛すぎて止まれなかったなって僕反省してたんだ」

「いえ、大丈夫ですよ。それよりなんだか後ろから声がしますけど大丈夫ですか？」

前までならこういう言葉にいちいちときめいていたんだろうな
今はもう話題をそらすのに精一杯だけれど

「あー、また上から「さとるさ～ん誰と話してるんですか？」あちょっと」

「え」