□消灯 ページ47
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落ち着け、落ち着け私。
さっきのはただの事故。
私はドライヤーで自分の髪をかわかしながら自分を落ち着かせる。
あの後少し気まずいままご飯を食べ終えて、お風呂に入った私たちには、あとは寝ることしか残されていない。
とはいえ…
(よく考えたら2人で寝るってことなのか)
冷静になって考えると、私は一人暮らしの家に男の人を招くという結構とんでもないことをしている。火照る顔をあおぎながら歯磨きをし始める。
いや、でも、私がこたつで寝て一松くんには布団で寝てもらって…。この前だって一応同じ布団で寝たことあるんだから大丈夫大丈夫。
第一、一松くんは私にきっと興味はない!
「うん」
必死で自分を納得させると、うがいをして部屋へ戻る。
部屋では猫を抱いてこたつに入ってテレビを見ている一松くん。
「い、一松くん、布団敷くね」
「あぁ….うん」
一松くんは猫の背中に口元を埋めるようにこくりと頷いた。
私は押入れから布団を出してどさっと敷くと、一松くんに「どうぞ」と言う。
「………は、俺がそっちで寝るの」
「え…うん。私はこたつで……」
「俺がこたつで寝るからいいよ」
「よくないよ!風邪ひくし!」
わたしが言うと「バカは風邪引かないんだよ」とまた卑屈なことを言ってのける一松くん。
「いや、でも…お客さんだし…んーやっぱり…」と考え込む私に一松くんはしびれを切らしたように腕を掴むと乱暴に布団の上に投げた。
「は、はい…?」
「………………」
一松くんはまな板の上の食材を見るように、布団の上に転がった私をみると私を布団の中に入れてパチンと部屋の電気を消した。
そのままごそごそと私の入っているふとんに私を押しのけるように入ってくる。
「え、あの、一松くん」
「…何もしないから黙って寝ろ」
「…は、はい」
私にぷいっと背中を向けて寝転がる一松くんに、私はドキドキしながら仰向けで寝る。
前に同じ布団で寝たことがあると言ってもあれは6人用。他の兄弟たちもいたわけで。
1人用の布団に2人で入っているこの状況に、ドキドキしないはずがない。
「い、一松くん」
「なに」
「あの……」
私はごくりと息を飲みながら「話あるから、ちょっとこっち向いてほしいな」と一松くんの背中に話しかけた。
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