□服着ろ ページ42
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チョロ松
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「うわー…コレ結構やばいよ」
吹き荒れる嵐に苦笑いしていると、「たっだいまー!」と十四松の声が玄関から聞こえてきた。
ゴロゴロしている他の兄弟たちに大きく溜息を吐いて「十四松、どうせびしょびしょなんだろ…」と玄関へ行くと、
案の定びしょびしょな十四松とAさんが傘をたたみながらうちに入ってきていた。
「Aさん!?」
「こんにちは、濡れてるけどお邪魔していいですか?」
「どうぞどうぞ!ちょ、十四松お前は体を拭け!」
ビショビショのまま「うぇーい!」と走っていく十四松に叫ぶと、Aさんにスリッパを出す。
「すみません」とヒールを脱ぎ始めるAさんに「っ…!」と思わず言葉が詰まる僕。
「ん?」と濡れた髪を耳にかけながら僕を見上げるAさんからバッと目をそらした。
こ、これは……。
ピターッとくっついたシャツからピンクの下着が覗く上に、顔は寒かったのかほんのり赤いし、髪の毛は濡れてぽたぽたとしずくが落ちる。
チラチラとその眼福な光景をみていると、おそ松兄さんが「A来てんの?」と今から出てこようとするもんだから、Aさんを風呂場の方へ連れて行く。
「え、あの、チョロ松さん?」
「風邪ひきますから!シャワー浴びて下さい!」
「私より十四松くんを…」
「あいつはいいんです!バカは風邪引かないんで!」
「ごゆっくりどうぞ!」と脱衣所の扉をピシャッと閉めて出ると、はーっと息を吐く。
顔を上げればニヤニヤと僕を見るおそ松兄さんとトド松がいて、「ひぃっ!」と思わず変な声を上げた。
「なんだよ…」
「Aは?」
「風呂…」
「Aを風呂に入れて、隙を見て覗こうって魂胆だな!いいぞチョロ松」
「はっ!?」
「紳士の皮を被った変態童貞オタクだね、チョロ松兄さんやるぅ〜!」
「一つも褒めてないよね!?ていうかそういう下心ないから!ほら!はやく居間戻るよ!」
「うやっほーい!」「十四松!服着ろ!」とカラ松に追いかけられながら全裸で現れた十四松。
「Aさんが先風呂入るから!」と十四松を止めていると、そーっと脱衣所のドアが開いてAさんの顔が覗く。
「あの、チョロ松さん、服って…」
「あぁ!持っていきますね!」
Aさんは十四松を見て静止する。
僕とトド松がばっと彼を隠すけど、見てしまったらしいAさんは「…ごめんなさい」と真っ赤な顔で言ってスーッと戸を閉めた。
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