■介抱 ページ31
おそ松
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ワオーンと野良犬の遠吠えが聞こえる中、俺はAをおんぶして家の方へ歩き始めた。
「軽ー…」
最近まともにご飯食べてないとか言ってたしな…と一人で納得しながら背負うAの体重は想像よりずっと軽い。
(それよりも…)
耳元に掠めるAの寝息と、
腕にのっかる柔らかい太ももと、
あとなにより背中に感じるぷにっとした女子特有のものが
色々とやばい。
(童貞の生殺しか!?これ!!)
「おそ松さん…」
「はいっ!?」
下心満載の心を読まれたのかとビビって声を上げると、寝言だったらしく、Aは「んー…」と言いながら俺の首にぎゅーっとしがみつく。
「人の気も知らないで…」と思いつつ、俺は小さく笑って溜息をつくと自分の家に向かって急いだ。
「ただいまー」
Aを背負ったまま玄関を開けて中に入ると、歯磨きをしていたトド松が「おかえりなさいおそ松に…」と言いかけて止まると、
すごい勢いで居間に入っていく。
「みんな!!おそ松兄さんが女の子連れて帰ってきたよ!!」
「えぇぇ!?うそだろ!?」
「……幻覚でも見たんじゃないの…」
「いやまじだって!」
失礼なことを言っている五人がダダダと玄関へやってきて、俺の背中のAを見てピタッと止まる。
「Aさん…」
「Aちゃん!?え!?」
「おそ松兄さん、どうやってAを騙したんだ…」
「やめてカラ松、騙してないから」
「今すぐ下ろせ童貞!!」となんともブーメランなことを叫ぶチョロ松が必死に俺からAを引き剥がそうとする。
「チョロ松、布団敷いてきて」
「布団!?お前!寝込み襲うなんて最低だぞ!!」
「え!?寝込み襲うの!?すげー!おそ松兄さんすげー!」
「寝かせるだけだよ!!」
うるさい十四松をべしっと叩くと、チョロ松が「客間でいい!?」と急いで布団を敷きに行ってくれる。
客間に布団を敷いてAを寝かせると、6人でAを囲むように座る。
「かわいー」
「トド松、十四松」
楽しそうにAの寝顔を眺めているトド松と落ち着きのない十四松に「お前らもう仕事やめなさい」と冷静に伝える。
ブーブー言ってたけど、Aが困ってると伝えたら渋々了承してくれた。
「んー…」
苦しそうに寝返りを打ったAの第一ボタンを外そうと手を伸ばせばチョロ松にすごい勢いで頭を叩かれた。
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