□ご帰宅 ページ23
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挽肉をこねているのを、後ろから十四松くんが興味深そうに覗き込んでるのが可愛い。
「カラ松さん心配だからついててあげて」と言うと、「へーい」と台所から出て行った。
「………えーっと…フライパンどこだ」
ごそごそと人の家の台所を探るのも気が引けて、十四松くんに聞こうとひょこっと廊下に顔を出して「十四松くん」と呼びかける。
と、目があったのは玄関で靴を脱いでいる六つ子のうちの二人。今朝見た彼とも違って、今家にいる彼らとも違うから……。
「Aさん!?」
「え、Aちゃんなにやってんの」
「チョロ松さんトド松くんおかえりなさい」
「ちょっと台所借りてます」と笑うと、二人してぞろぞろと台所にやってきた。トド松くんは丸まった挽肉を見て「ハンバーグだ!」とキラキラした目で喜んでいる。
「なんで…」と未だ戸惑っているチョロ松さんに、「カラ松さんに今朝自転車で職場まで送ってもらって…帰りにお腹すかせて倒れてたので…」と苦笑いすると「へぇ…」と頷いた。
「あ、フライパンどこにありますか?」
「あーフライパンなら上の棚に…」
チョロ松さんは上の棚から大きなフライパンを取り出すと渡してくれた。
「ありがとうございます」と笑えば「うちの兄弟が迷惑かけてすみません」と逆に謝られてしまった。
「いえいえ!できたら持って行きますから、ゆっくりしててください」
「………」
フライパンを火にかけながら笑って言うと、チョロ松さんがぽやーっと私を眺めながら停止している。
「…どうかしました?」
「え、あ、いや、あの」
「新婚さんみたーいとか思っちゃったんでしょチョロ松兄さんくそきもーい」
「違っ…!Aさんに失礼だろうがトド松!!」
「…もしくは自分のエプロンを着てるAさん、萌える。脱がせたい」
「どこから現れた一松!!!」
突如現れた一松くんと「うわ〜チョロ松兄さんってばくそきもいね〜」と笑うトド松くんに、チョロ松さんは顔を真っ赤にしてキレる。
一松くんとトド松くんは「わー」と居間の方に逃げていった。
「すいません……」
「このエプロン、チョロ松さんのだったんですか。すみません」
「いや、大丈夫です!使ってください!」
たいてい緑のものはチョロ松さんのもの。
脳内に記憶しながらたくさんハンバーグをフライパンに並べていく。
「待ってますね」と嬉しそうに笑うと、チョロ松さんも台所を出ていった。
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