【 おそ松さん 】学生むつごと恋する短編集 3

相合傘 【 トド松 】 ページ9

※付き合っていません
トド松side
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学校も終わり、家に帰ろうと昇降口で靴に履き替えていれば


突然、ザーーーーーッ
という、激しい雨の音が聞こえた





「 タイミング悪… 」



夕立だ。


朝の天気予報で、夕立に注意なんてのを聞いたから
傘も持ってるし特に問題は無いんだけどね




その折り畳み傘を取り出そうと鞄を漁っていれば






『 うわ、夕立 』





そう呟きながら僕の横を通り過ぎる

僕の好きな女の子。







「 あ、Aちゃん! 」


『 トド松くん! 』





特に用はないけど
なんとなく名前を呼んで話しかけて


2人で雨やだね、なんて何でもない話をする







あ。てか

Aちゃん、傘持ってる







これはチャンスでは。






「 あー、あのさ、実は僕傘忘れちゃって
もしよかったら途中まで入れてくれない? 」







もちろん、嘘


持ってるけど、好きな子と相合傘できるチャンスを
逃す訳にもいかない。






上目遣いであざとくお願いすれば
一瞬驚いて、でも、いいよと傘を広げて僕を入れてくれる






「 ありがと 」


『 いえいえ 』






どうだ兄さん達。
僕女の子と相合傘してるよ


この場にいない兄さんたちに無駄に勝ち誇っていれば





あの、とAちゃんの声が聞こえる





「 ん? 」


『 あの、ごめんね
実は私の家、ここなの 』


「 え、 」






学校から数十分






いつの間にか住宅街を歩いていて
その中の1軒の家の前でそう言われる








「 え、ち、近くない!? 」


『 あはは、そうなの 』





折角の相合傘だったのに。
これは予想外




ちょっとガックリしていれば







『 相合傘、もっと出来なくてごめんね 』


「 ……へ 」







今、なんて









『 あの多分、トド松くん
相合傘したかったんじゃ、ない? 』


「 え、なんで!? 」







なぜバレてる
分かりやすかったつもりないんだけど



そう焦っていれば遠慮がちに指を指され





『 それ、鞄から見えてて…
持ってるのに私に頼んでくるってことは
そうなのかなーって 』








指摘された通りカバンを見れば
飛び出してる僕の傘









はっず。
かっこわる。








恥ずかしさでいっぱいの僕に
また今度相合傘しようよ


そう言ってくるAちゃん









更に恥ずかしくなったけど、同時に嬉しさも込み上げて









次はぜってー傘忘れよ

なんて、変な意気込みを心の中でする

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