【 鬼滅の刃 】伊之助さんとそんな日々【 嘴平伊之助 】

伊之助さんを信じる日 ページ42

別に死んでもいいやなんて
少し前まで思ってたの

幼い頃に家族を鬼に殺されてから、全てがどうでも良くなって
どうせなら私も一緒に逝きたかったよ



鬼 ｢ ねぇ、君はどこから食べて欲しい? ｣

『 悪趣味な鬼… 』



他の人間の手や足、頭だけ、そこら中に転がっている
こいつはきっと、人体を一つ一つ食べるのが好きなんだろう

ここで私も、こいつに食べられれば
やっと、やっと

家族の元へ行けるの



『 …いやだ 』



家族の元に行けるのに、
今までの苦しみや悲しみから解放されるのに

何が嫌なの、
どうせ死にたいと、捨てた人生だったのに

いつから私は、



『 死にたく、ない…ッ 』

鬼 ｢ ええ、今更? ｣



伊之助さんのせいだ
こんなに生きたいと、心から叫んでしまうのは。

伊之助さんのせい

伊之助さんがこんなに、好きにさせたから

私、今
生きたいって、心の底から願ってしまった



『 伊之助さんッ!!! 』

鬼 ｢ っ、だからさっきからその名前呼んでるけど無駄だよ!
僕の血鬼術は万能なんだ、普通の人間じゃこの場所は気づけないよ ｣



勝ち誇ったように笑う鬼

普通の人間なら、でしょ
じゃあ普通の人間じゃなかったら?

例えば、触覚が物凄く優れてる人とか。



『 絶対、来る、来てくれる
伊之助さんならッ 』

鬼 ｢ 人間の理想論は聞き飽きたよ
君の前に殺した女も似たようなことを言ってたなあ ｣



煩い、と言うように私の首をガッと掴み、絞める鬼



『 ぐ、ッ 』

鬼 ｢ ほら、来ないでしょ? ｣



苦しい、痛い、
これ以上力を入れられたら、首が折れる

だけど私は、信じるの

伊之助さんなら来る、
私が好きになった人だから、信じるの



『 い、の、
すけ、さ 』

鬼 ｢ 御伽噺じゃあないんだよ現実は
都合のいいように王子様は現れない ｣



口から泡が、出る
息が上手くできない

それでも私は、生きることを諦めない

だって私、まだ
伝えてないもの



『 す、好きって
いの、ずげさんに、すぎ、ッて 』

鬼 ｢ さっきから何を言ってるの
しぶといなぁ君、大抵の女の子はこれくらいの力で死ぬのに ｣



さっきより力が篭もる
首が、軋む

軋んで、

ねぇ伊之助さん。
やっぱり伝えたいよ、好きって。
貴方が好きって、言わせてよ

伝えたらどう思う? どういう顔する?
吃驚するかな、呆れちゃうかな、それとも

少しだけ、貴方も同じ気持ちでいてくれてたりしないかな



『 い、の 』



伊之助さん

伊之助さん。

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