【 鬼滅の刃 】かまぼこ隊と恋する短編集 弐

妊娠疑惑 【 善逸 】 ページ30

善逸side
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Aのやつ、赤ん坊出来たらしーぜ

俺にそう平然と告げてきた伊之助。





｢ 一体どーぉゆーコトッッ!!? ｣





その話を聞いた瞬間、伊之助なんて放ったらかしで一目散にAちゃんの元へ走る






｢ Aぢゃァぁんッッ!!!? ｣


『 ぎゃ、善逸っ 』




混乱して頭が上手く回らないままAちゃんに飛びつく俺





『 もう、何泣いてんの 』


｢ 嘘と言って!? ねぇ嘘って言ってお願いだよォ何でもするからさぁ!!! ｣




そりゃもう泣くよ泣きますよ。




だってさ? 聞いてよ
俺らまだそういう、アレ

恋人同士がする夜の営みってやつ、してないんですよ






だから、Aちゃんに赤ちゃん出来るはずないのに伊之助は言った、ハッキリと。






｢ 浮気かよぉッ 誰との子だよふざけんなよぉ
俺立ち直れない無理もう辛い死ぬより辛い!! ｣


『 ちょっと善逸、何の話… 』





泣き喚く俺を、困惑しながらもあやす様にゆっくり撫でてくれるAちゃん


こんなに優しい子が浮気なんてするはずないって分かってんのに





｢ 惚けても無駄だからなッ
おれぇ…ッ 聞いたんだよぉ ｣


『 何を 』


｢ Aちゃんに赤ちゃん出来たって!!! ｣






みっともなくずびずび泣きながらそう言えば、撫でていた手がピタリと止まる






『 はぁ? 誰から 』


｢ グズッ… い、いのずげから、｣





眉を顰めて少し呆れたような顔を見せた後、





『 伊之助… あー。』





そっか伊之助かあ
そう言って顰めた眉を今度は八の字に下げる






『 その赤ちゃんの話さ 』


｢ い、嫌ッ やっぱ聞きたくない!! ｣


『 落ち着いてってば、私に出来た訳じゃないから 』




その言葉にまた混乱

へ、という情けない声と驚きで止まった涙




『 私が可愛がってる野良猫がいてね
その子に赤ちゃん出来たみたいでさ 』


｢ のら、ねこ… ｣


『 多分伊之助の伝え方が悪かったのかな 』




変な心配させてごめんねって困った様に笑うその顔とその言葉で、一気に安堵





｢ ハァ!?
ッもう吃驚した! ホント吃驚した!! ｣




何だよ猫の話かよ! 伊之助の馬鹿野郎!!

浮気かなんて、要らない心配しちゃっただろ






『 浮気なんてしないよ、私には善逸だけだからね 』




そんな俺を安心させる様に頬に優しく口付けをしてくれるAちゃん


ああもう、好き。






｢ 俺らも赤ちゃん、作る? ｣


『 馬鹿、まだ早い 』

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