【 鬼滅の刃 】かまぼこ隊と恋する短編集 弐

書いてみたい字 【 伊之助 】 ページ28

伊之助side
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何やら小さな棒みたいなもんを動かして、紙に何か書いてやがるAを不思議に見つめる






｢ オイ、何だソレ ｣


『 んー、書き物だよ 』


｢ カキモノォ? ｣






よく分かんねぇけど、黙々と机に向かって書いてるあたり、そのカキモノっつーやつが好きってのは伝わる






『 書き物。文書とも言うけど
私、お話を書いたりするのが好きなの 』


｢ ふーん ｣


『 本を読むのも好きだけどね 』




やっぱり書くのが楽しい、なんて言うAを横目に

読み書きの出来ねぇ俺には遠い話だ
そんな風に考える





｢ 字って、書けたら楽しいのかよ ｣


『 えっ、あ、そっか伊之助は…。
うーん、字が書けるから楽しいとかは考えたこと無かったなあ 』




手に持ってた棒みたいなもんを机に置いて書くのを一度辞めれば、その手を顎に持っていき少し考えたような仕草をするそいつ






『 じゃあ、伊之助も何か書いてみる? 』


｢ は? ｣


『 教えるよ、ほら 』




そう言いながら、さっきの棒みたいなのを渡される





『 それ、万年筆っていうの
こうやって持つんだよ 』


｢ お、おお、初めて持ったぜこんなの ｣


『 そうそう、いい感じ 』




持ち方から丁寧に俺に教えるAに少しホワホワ、する





『 何か書いてみたい字ある? 』


｢ 書いてみたい字ィ? ンー… ｣


『 じゃあまずは伊之助って書いてみよ 』





伊之助の字はこうだよ、とそいつが書いたのは
俺の褌にも書いてあるその見覚えのある文字






｢ こーか!! ｣


『 ふふ、初めてにしては上手! 』





手本にはどう足掻いても及ばない俺の字に少し笑うA





｢ ほらどーだッ ｣


『 おお、上達が早い! 』





紙に幾つも伊之助という字を書いては見せる





｢ お前の名前も教えろ!! ｣


『 へ、私? 分かった、いいよ 』






Aの字は知らねぇから新鮮で

一瞬驚いた顔をしたAはすぐ穏やかな表情になって丁寧に教えてくれる





｢ お前こんな字だったのか ｣


『 書ける? 』


｢ 舐めんな! ｣





さっきみたいにAという字を紙に幾つも書いていく

慣れねぇけど、案外楽しいもんで






『 おお、上手!! 』


｢ グワハハハ!! 俺様くらいになるとこんなの余裕だぜッ ｣


『 はいはい 』







呆れた様に、でも楽しそうに笑うAにまたホワホワ






次は、こいつがスキって気持ちを伝えられる字を教わるか

髪の長さ 【 炭治郎 】→←不安【 炭治郎 】

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