【 鬼滅の刃 】かまぼこ隊と恋する短編集 弐

傷なんて 【 善逸 】 ページ3

善逸side
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｢ Aちゃんッ!!? ｣


『 あはは… 』





驚く俺を見るなり、苦笑いを浮かべるAちゃん







｢ その、傷… ｣


『 あんまり見ないで 』





そんな彼女の右頬に、大きく深い傷跡。







｢ 何、これどうしたの ｣


『 …お、鬼に、
攻撃避けられなくて 』




目を合わせてくれない、
傷を隠したいのか下を向いて表情が分からないけど

悲しみと悔しさの音が聞こえる







｢ Aちゃん、こっち見て ｣


『 …い、嫌 』


｢ 顔上げて、俺を見てよ ｣


『 嫌だ…ッ! 』







覗き込もうとすれば、反対の方向に顔を全力で背けられる







『 傷、残るかもって、』


｢ うん ｣


『 顔に傷がある女なんて、
嫌でしょう、善逸くん 』







ねぇ、顔を見せてよ。
泣いてるんだろ、声で分かるよ


悲しみの音でいっぱいの君を抱き締めたいからさ








こっち見て。









｢ Aちゃん ｣


『 ッ! 』






呼ばれた名前に反射的に振り返ったAちゃん








｢ 泣かないで ｣








彼女の頬を伝う暖かいそれを俺の手で掬いとる


いつも泣いてばかりの俺が言えないけどさ、
顔に傷があるからなんだよ、そんなの関係ないだろ








｢ 俺はAちゃんが好き、どんなAちゃんも好きなんだ ｣


『 ぜん、いつくん 』


｢ 顔に傷が残ったって、俺の好きなAちゃんは変わらないよ ｣







その言葉にまた涙をぼろぼろ零すAちゃんを優しく抱き寄せる








『 こんな私でも、ずっと好きで、いてくれるの 』


｢ 当たり前だろ! 何言ってんのもう。
俺達結婚するんでしょ、こんな事くらいで嫌いになったりなんかする訳ないじゃん ｣







俺を誰だと思ってんの、なんて
Aちゃんを愛してやまない我妻善逸だよ。







彼女の顔に傷をつけた鬼は一生許さないけど、
その傷はAちゃんが命を掛けて闘った証になるから









｢ だから安心して ｣


『 うん、うん
善逸くん、ありがとう、大好き 』







泣きながら、でもくしゃっと笑ったその顔が可愛くて愛おしくて




傷なんて気にならないよ









｢ 俺も、ずっと大好き ｣



そんな彼女に、口付けをひとつ

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