＿＿黒 ページ46
今日は佐久間君との雑誌撮影日で、休日のカフェがテーマ。休日にカフェなんて実際は行かないよねぇって休憩中に二人で話していれば、ちらっと見えた目線の先にファンの人達が数人こちらを見てた。その人達はある程度距離を保ち、こちらの様子を見てるだけで仕事に踏み込んで来ようとはしないでいてくれる。
たまーにだけど、ズカズカ入ってきてスタッフさんに怒られている人を見掛けることもあるくらいだから今日は全然いい方。と、思って見ていたら、ぴょんぴょんと人垣の奥に何かが見えた。
「蓮、どうした？」
休憩中を利用してアンケートに答えていた佐久間君が俺の様子を気にして訊いてきて、俺は「跳ねてる」と視線はそのままで答えた。
その視線の先には、ぴょんぴょんと跳ねてこっちを見ようとしてる頑張りが実ったのか、前の方に居た人がその人に場所を空けてあげていた。優しいファンの人だなぁって見てるこっちが嬉しくなっていれば、隣から佐久間君の「げっ」と言う声に振り向いた。
「げ？」
「あ、いやー……」
え、なんでそんなに目を泳がすの？
もう一度ファンの人達の方を見ると、さっきぴょんぴょん跳ねていた女の子はどうやら佐久間君のファンらしい。分かった理由は、佐久間君だけを見詰めて手を振っているから、試しに俺が軽く手を振り返してみたら、その周りに居た人達はキャーって騒いでくれたのに彼女だけは未だにブンブン手を振っていて俺の事なんて眼中にねぇなって。
「ふはっ、かわいーね」
「……蓮、隠せ！」
「は？ なにやってんだよ？」
小さい身体を更に縮こませて俺の背後に隠れようと席を立った佐久間君は、本当にそのまま俺の後ろにすっぽり隠れてしまい、それを見た彼女は明らかに悲しそうな顔をした。
「…………」
その時ピンと来たけど、以前阿部君が俺に話してくれたことがあった。
やたらと楽しげに携帯と向き合っていた阿部君に『なんかいい事あったの？』と訊けば、すげぇ企み顔だったけど『佐久間にね、春の風が吹きそうなんだよね』とか言ってて、なんの事が分かんなかったけどもしかして？ って俺の勘が働いた。
…………春の風=彼女なんじゃねぇかなって。
佐久間君はいつもならファンの子に手を振ってあげたりするのに、あの子に限ってそれがない。振り向いて佐久間君を見れば少し困惑気味にも見えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1418人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきんこ(プロフ) - ありがとうございます😌新鮮な💗さんになっているでしょうか。楽しんでもらえたら嬉しいです！💚にも主人公にも頑張ってもらって彼の心を開かせたいですね！ そうなんです。使えないから2個買えば良かったって思う子です😁 (2023年2月27日 15時) (
レス) id: 928c91c1dd (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - これまでにあまりない感じのさくまさん、、どう心開いて？近付いてくるのか気になります！あべちゃんにもぜひまた頑張ってもらって😉お買い物も憧れますがピアス選んでくれるなんて大事すぎて使えませんね(//∇//) (2023年2月21日 19時) (レス) id: ff23500b61 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - sakiさん» コメントありがとうございます😊 ツンも、めちゃくちゃツンじゃないのがいいですよね！って思ったらもっとって言われちゃった😂 (2023年2月18日 13時) (レス) id: a30efcea94 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ★mmiioo★さん» コメントありがとうございます😊 💚ちゃんこれが💗さんの為になると思ってやってます😊元彼はきっとまた出てきます(笑) 頑張ります！！ (2023年2月18日 13時) (レス) id: a30efcea94 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 流布さん» ありがとうございます😌 閲覧垢じゃないからと、しっかり守ってくださるの有難いです！どんな形でも感想頂けることは1番の励みになるので嬉しいです😆 (2023年2月18日 13時) (レス) id: a30efcea94 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆきんこ
| 作成日時：2023年1月30日 16時
