相変わらず非日常 (10/4)UP ページ30
某有名AAである「どうしてこうなった」が頭の中を高速で流れていく。しかも脳内の端まで行ったら往復してくる。なんなのこれ、なんなの。なにかの精神干渉系の攻撃でも受けているんだろうか。
そんなことを考えながら、上の空で振られた話に頷く。
Aは今、以前松本に連れてこられた会員制のカフェ＆レストランバーに来ていた。
夜の時間はバータイム。未成年お断りになる18時以降は、どこを見回しても大人の世界。
シンプルで先進的なのに、シックでどこか和風な雰囲気がある落ち着いた作りの店内で大っぴらに雰囲気を壊す客など一人もいないが、なんとなく視線を感じる。
一応それぞれに薄布のようなパーテーションが施されて、それなりに隔絶された空間にはなっているけれど。
それでも、なんとなく。
(そりゃまぁ誰だあのモブはってなりますよねー)
手にしたグラスを口につける。シュワシュワの泡の食感が口内に気持ち良いのに、Aは気持ち良く酔えそうにない。
二人掛けのソファの横にいるのは言わずと知れた国民的アイドルグループへと急成長している嵐の松本潤。
チラリと見上げると、下ろしている前髪を撫であげた額が見える。心なしかきっちりしたジャケット姿。いつもより三割増しのイケメン具合で、相変わらずAの眼球を潰しにかかっている。多分微笑まれたら視神経もどんどん衰弱して死ぬ。
「Aさん？ どうかした」
「え、ううん、ごはんおいしいなあって」
「だろ。Aさんに食べてもらいたくて」
「わぁうれしいなー」
張り付けたような笑顔を見せると、松本が暗闇の中でもニカッと弾ける笑顔を見せる。歯が白い。
(ああこれはイケメンだけど少年のような笑顔というやつですね眩しい理解。芸能人は歯が命ってやつですね古い)
Aの表情が遠くを見ているのも、言葉に抑揚がないのも、多分松本は気づいていない。
だってとにかく嬉しそうだ。なんならいつもよりテンションが高くてはしゃいでいるようにすら見える。
その理由が、自分と一緒に来ているからだとは思えない状況にAは一瞬表情をなくしそうになる。
「ほんっと嬉しそうだね潤くん」
そして前から聞こえてきた別の男性の声に、Aの意識はまた虚無に向かう。
そちらを向きたくないが、横を向けばイケメンマシマシの松本が見えるし、かといってパーテーションを見ているわけにはいかない。
(‥‥どうして‥‥)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 176人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
お塩(プロフ) - ゆぃさん» ゆぃさん、一気読み疲れないですか？今後どんどん長くなる上に、どんどん何なのこの人たちってなるので(笑)ありがとうございますー！ (2021年10月3日 19時) (
レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆぃ(プロフ) - 小出しもいいけど、一気に読めると尚嬉しいから 一気に出しても大丈夫ですよ~♪ (2021年10月3日 13時) (レス) @page29 id: 7a81be16ec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：お塩
| 作成日時：2021年9月29日 1時
