春に浮かれちゃって ページ12
「ねぇ、にの」
内緒話をするように、相葉が顔を寄せてくる。
ちけぇよ！ と押しのけながらも、つぶらな瞳が見つめてくるものだから返事を返す。
「ん？ どしたの相葉さん」
「松潤が今日ご機嫌なんだけど、なんかあったのかな」
「‥‥さぁ？ まぁ不機嫌よりご機嫌な方が良くない？」
「そうなんだけど、いきなり笑いだしたりするから怖いんだよ」
「あー‥‥うん、言っとくわ」
あんがとー、と手を振る相葉を見送って、二宮はため息を吐く。
(まぁ多分連絡来たんだろうけど、小宮山さんから)
昨日までの不機嫌とは打って変わり歩きながら鼻歌まで歌ってしまう松本を朝っぱらから見かけて、二宮はおいおいと思っていた。
(解りやすすぎでしょ、ほんと何考えてんだろう潤くん)
基本的にそこまで他人にはまり込むタイプではないと思っていたが、今回はどうやら毛色が違う。
期間限定とかなのかもしれないが、短くない付き合いの中でこんな松本潤の姿を見るのが初めてなので、二宮にも今後どうなっていくの皆目見当もつかない。
(まさかほんとに、おもしれー女現象なのか？)
自分と真逆な相手、今までの価値観の外に居た相手に強く惹かれることは、誰にでもあることだ。
それが、友情として確定するのか、形を変えていくのか。
(恩人って言ってたしなぁ、まぁもう少し様子見か)
本命の彼女がいるのに他にうつつを抜かしまくり、その相手が超絶一般人だなんて、色々と心配事は尽きない。しかし久しぶりに晴れやかな顔をした松本に水を差す気にはならない。
どうせ遅かれ早かれ、聞いても居ないのに『大きな独り言』と言う形で報告してきそうな松本がいるのだから今は取りあえず、触らぬ神に祟りなしという奴だ。
「まったく春に浮かれちゃってんのかねぇ」
そう言って、見上げた窓の向こうの眩しい日差しに、二宮は目を細めた。
その日の収録後、まさか延々三時間も拘束される羽目になるとは、流石に思いもしなかった二宮は「お前ほんとちょっといい加減にしろや！ 連絡来たのが嬉しいとか気持ち悪いんだけど！？」と松本に怒鳴るのだった。
「良いだろ親友！ ちょっと聞いてくれよ！」
「散々散々聞いて差し上げてますけど！？ つうか潤くんまだ呑むの！？ 寝ろ！？ 俺も寝たいし帰りたいんだけど！？」
「にの〜、もうちょっとだけだから」
「やだよ、帰る！」
続く
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お塩(プロフ) - ゆぃさん» ゆぃさん、一気読み疲れないですか？今後どんどん長くなる上に、どんどん何なのこの人たちってなるので(笑)ありがとうございますー！ (2021年10月3日 19時) (
レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆぃ(プロフ) - 小出しもいいけど、一気に読めると尚嬉しいから 一気に出しても大丈夫ですよ~♪ (2021年10月3日 13時) (レス) @page29 id: 7a81be16ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年9月29日 1時
