＊ ページ16
暗転。
白く点滅するスポットライト。
陰影を色濃くするその表情はまるでマネキンのようなのに、美しくて、決して内心を悟らせない。
けれど、何よりも雄弁なその身体の動き。
白と紫のライティングが、激しいダンスを際立たせて。
誰もが息を呑んだかのような空気の中、独特に刻まれる音に合わせて、関節の一つひとつがまるで生き物のように、自由にしなやかに。
空気を裂いて。
色を纏って。
目が、離せない。
最後のサビでは、さっきまで息を詰めていた観客はいない。
手拍子が大きくなって、盛り上げる周囲が腕を振り上げる。
すっかり世界を創り上げて、空間全てを塗り替えた三人がポーズを決めて動きを止めると、割れんばかりの歓声、悲鳴。
「‥‥はぁっ」
Aが吐くため息が色と熱を帯びる。
潤とA、二人以外の時間が止まっているように感じられて、一瞬世界に二人きりのような錯覚まで起って脳が混乱する。
Aはまさに棒立ちだった。
それなのに身体の深いところが熱く重く疼いて仕方ない。
今すぐ触れたくて――
あの視線に抱かれたくて、早く、早く。
「‥A」
「っ、じゅ」
気が付けばすぐ目の前に潤が立っている。
たった今一曲終えて、そのままステージを降りた彼はわき目もふらず真っ直ぐにAの下へとやってきたのだ。
ほんの二歩の距離。それすらもどかしい。
後ろで会社の仲間が息を呑んでいるのが解る。
周囲がパフォーマンスとは別の興奮とざわめきに揺れているのも、解る。
解るのに、Aの目も耳も感覚全てが目の前のたった一人にしか反応しない。
うっすらと汗が浮かぶ自身の白い肌を乱暴に拭った潤の手が、Aの頬に触れる。
「‥潤」
「俺しか見えなかった？」
爪先でそろりと撫でられて、汗ばんだ産毛がぞわりと粟立つ。
それだけでアツくて、熔けそうで。
はっ、と吐息が漏れた。
その音に、潤がわずかに目を眇める。伏せられた瞼に踊る睫毛が作る影すら芸術品のよう。
潤の額に浮かぶ汗の一滴でこの喉の渇きを癒してほしい。
「‥‥潤が、カズ君と智君に取り合いっこされてた」
「そこ？ まぁ面白かったでしょ」
他に見るとこあったんじゃない？
なんてヤンチャな顔をしたあと、Aを見下ろす潤の表情が一変する。
「A、」
まるで合図のよう。
呼ばれ、耳から蕩けていく。
流し込まれた低音の甘ったるい蜜のような潤の声。
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お塩(プロフ) - ゆぃさん» ありがとうございます！って、ゆぃさんまで何を仰る！(笑)私ニューヨーク行ったことないので‥‥(笑)でもタイムズ・スクエア前に立たせるだけで絵になる潤くんですよね、それを見たいです(笑) (2021年9月28日 11時) (
レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆぃ(プロフ) - 完結お疲れ様でした~ NY編…いいです~♪ (2021年9月27日 13時) (レス) id: 7a81be16ec (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - さちこさん» さちこさんコメントありがとうございます！ほんっと格好いいですよね見事に落ちました(笑)全曲は流石に書けませんでした、そこまでネタが思いつかなくて‥。えっ、NY番外編っ！？えっそんなそんな(笑)でも少し妄想しちゃいました、タイムズスクエアの二人ですね成程！ (2021年9月25日 21時) (レス) id: bdf4956e41 (このIDを非表示/違反報告)
さちこ(プロフ) - お塩さん、完結おめでとうございます！こちらのお話も大好きです♪untitled、ほんとカッコいいですよねぇ…全曲のお話書かれるのかと勝手に思ってたので、完結って見て「えぇ( ﾟДﾟ)」ってなっちゃいました(笑) NY番外編、気が向いたらお願いします(笑) (2021年9月25日 8時) (レス) id: 037683b6b9 (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - ゆぃさん» ゆぃさん返事遅くなってすみません！！ 同僚はものの見事に当てウマですほんとすみませんって気分になりつつ、あれはもう潤くんのイケイケ具合を楽しんで頂ければオッケーです！！ ね、どう思ったんでしょうかね‥(笑) (2021年8月28日 2時) (レス) id: bdf4956e41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年8月11日 4時
