行き倒れ ページ6
脳内で激しいツッコミを炸裂させてから、そっと身を乗り出して暗闇を覗き込む。
一応、一応生存確認だ。だってもしもこの人がこの後初春の寒さにやられてお陀仏でもしてしまったら寝覚めが悪すぎる。
「‥‥あのー、大丈夫ですか」
恐る恐る声を掛ける。返事が無い。
「なんだただの屍か‥‥っていや違う」
屍だったら尚更大変だ。警察を呼ばねばならない。救急車もか。
聞こえていない可能性を考えて、今度は座り込んでそっと揺さぶってみる。
真夜中の冷たいアスファルトの感触が、ズボンを通してもしっかりと伝わってきた。
「おーいお兄さん、大丈夫ですか？ 生きてますか？」
「‥‥う‥‥うぅ」
「あ、良かった。大丈夫ですか、ここ路地ですよ。風邪ひきますよ」
「‥‥め、」
「め？」
「‥‥‥」
「って、終わりかい」
め、だけ呟いて黙りこくってしまった男を見つめ、盛大にため息を吐く。
よくよく観察してみれば、結構な酒の匂い。
なるほど酔っ払いが行き倒れているのかと現状を理解する。だとすればやることは取りあえず一つである。
「あの、ちょっと待っててくださーい」
「‥‥‥むぃ」
むぃ。って何だ。
ちょっとかわいい感じか。
何度目になるのかわからない脳内ツッコミを入れて、彼女はすぐに踵を返す。
すぐそこのコンビニに水とタオルを買いに向かうために。
(参ったなぁ‥‥もうこんな時間だし。でもしゃーない、ほっとけないよ。困った時はお互い様だもん)
本当は自分のためにあれこれ買いたかったのになぁと思いつつ、ささっと会計を済ませてしまう。
路地に戻れば5分前と変わらず倒れ伏した男の姿。
このご時世他人にかまければ、犯罪に巻き込まれたり下手したら加害者に仕立て上げられたりすることもあり、道行く人は多いのに、この人はこのままだったのか。
そう思うと急に切ない気持ちになってしまう。
「‥‥あのすみません、ちょっと体起こしますね」
「う゛ぇっ」
「わ、あああ吐かないでっ大丈夫ですかっ水どうぞっ」
完全に脱力した人間を動かすのは、たとえ相手が小柄な女性だったとしても骨の折れる作業だ。
けれどそこは昔取った杵柄。テコの原理でひょいと起こす。勢いが大事なのだ。
けれど急に動かされた酔っ払いはそうはいかない。
気持ち悪そうな声音とかくんっと落ちた頭にひやひやしつつ、目の前にペットボトルを差し出す。
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お塩(プロフ) - ひーちゃんさん» ひーちゃんさん、コメントありがとうございます！えっ、ヒーちゃんさんも夢落ち潤担さんですか！？そんな偶然があるとは驚き過ぎて笑ってます。続きは実はできてるので、修正しつつそのうちページ作りますね！ゆっくりお待ちください！ (2021年9月22日 15時) (
レス) id: bdf4956e41 (このIDを非表示/違反報告)
ひーちゃん(プロフ) - お塩さま、作品を楽しく拝見させて頂いております。夢堕ち潤担！私もです( ・∀・)ﾉ﹛ﾊｰｲ!何だか嬉しく思いました。続きも心待にしております。 (2021年9月22日 2時) (レス) @page28 id: af081d03e4 (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - ゆぃさんありがとうございますっ！私の中ではむしろ一番古い話なので不思議な気分です(笑)創作意欲ばっかり溢れて実際は空回りですよ‥‥ふへへ。いつもゆぃさんに励まされてます！ほんとにありがとうございますー！！ (2021年9月1日 12時) (レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆぃ(プロフ) - - ここにきてまさかの新作とは！驚きです！！お塩さんの書きたい意欲が凄い♪無理しないでくださいね~ (2021年8月30日 14時) (レス) id: 7a81be16ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年8月7日 1時
