鬼灯の冷徹小話集☆その七 (ページ42)

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小話　気を引きたくて〜鬼灯〜ページ42

私、Aは、地獄で働くヒラ獄卒

ある日…

たまたま下の階に行くエレベーターで

鬼灯さんと乗り合わせた

これといって話すこともなく着くのを待つ

ふわ、と香りがした、鬼灯さんの方からだ

…香水、かな、意外だな

しばらくして…

鬼灯「おかしいですね…」

貴女「…？」

鬼灯「女性はこの香りが好きだと聞いたのですが…」

貴女「……」

…私で試してるのか？

鬼灯「Aさん、貴女の好きな香りは何ですか？」

なんで私に聞くの

私、あなたに興味なんかないのに

貴女「………」

チン

あ、着いた

今日は阿鼻で呵責

…なぜか鬼灯さんもいる

ちょうど同じ仕事あったのだろうか

ひとしきり殴り、仕事は終わり

…なのはいいけど

なぜまだついてくる、鬼灯さん

鬼灯「貴女の好みを教えて下さい」

貴女「嫌です」

鬼灯「なぜそんなにも私を避けるのですか」

貴女「あなたに興味がないからです」

鬼灯「………っ」

なぜ、そんな顔してるの

そんな鬼灯さんと別れ、私は

お香さんたちの女子会に向かった

そこで始まるのは、お決まりの恋バナ

牛頭「白澤様もいいけど〜、ミノタウロス様もぉ〜」

馬頭「もうっ、この、浮気者❤️」

楽しそうだねぇ

…けど

…正直恋バナは苦手

だってあの辛いときを思い出すから

牛頭「Aちゃんはどう、好きな方いる？」

貴女「…昔はいた」

馬頭「あら、今はいないの？」

牛頭「誰、誰？」

貴女「…鬼灯さん」

その名前にざわつく女性陣

確かにね、鬼灯さんはモテるもんね

馬頭「鬼灯様が過去の人？」

お香「そういえば、Aちゃん鬼灯様を避けてるわね」

牛頭「何があったの？話してくれる？」

貴女「うん…」

今だから話そう

あれは去年のバレンタイン…

一生懸命作ったチョコ

鬼灯さんに渡そうとした

でもあの人…

鬼灯『いりません、チョコはもう手一杯です』

と、私をバッサリ

こっちを見もしなかった

終わったな、そう思った私は

ヒュンッ

ドボン

それを大釜に放り込み、

亡者でチョコレートフォンデュした

もう二度と作るか

そう、思いながら

あれから1年か

貴女「今は、鬼灯さんへの興味も薄れた」

お香「そ、それはダメ！」

牛頭「鬼灯様がかわいそうよォ！」

馬頭「きっと、Aちゃんが何か誤解してるのよ！」

…なんでみんなで鬼灯さんをかばうの

訳分かんない

今日は変な女子会だったなぁ