鬼灯の冷徹小話集☆その七 (ページ26)

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小話　本物は貴女だけ〜鬼灯〜ページ26

鬼灯side

私はうんざりしていました

なぜかというと…

私にはAさんという、幼い頃から想いを寄せる女性がいました

しかし、ある時、彼女は突然いなくなってしまったんです

それからというもの…

女性が、自分はAだと言い、近づいてきた

私に近づきたいのが見え見えです

ある日…

??「今日からここに就きました、Aといいます」

ああ、またか…

また彼女を騙る女が…

最初はそう思った

しかし、その人が、

自分にさして興味を示さなかったことや、

どこかでみた面影が、その考えを変えた

鬼灯「…！」

彼女はたまに、あるクセを見せた

クセのことは、また彼女を騙られるのが嫌で

伏せていたんですが…

まさか……、だとしたら…

疑惑は確信に変わった

と同時に、

彼女が自分に興味を示さないのが、急に悲しくなりました

ずっと、ずっと会いたかったのに…

自分に気づいてくれないなんて…

興味を持ってもくれないなんて…

そんなある日…

貴女「わぁっ！」

Aさんの声が聞こえて、急いで行ってみると、

彼女が女性たちに囲まれていた

それは、かつて彼女の名を騙った女性たちだった

女獄卒1「アンタ、急に何なのよ！」

女獄卒2「アンタが来たせいで、鬼灯様はアンタしか見てないじゃない！」

貴女「い、一体何の話なの…？」

女獄卒3「とぼけないでよ！アンタもどうせニセ者でしょ！鬼灯様目当てなのは分かってるんだから！」

ガシッ、と女獄卒のひとりが、彼女の髪を荒々しく掴む

貴女「痛っ…！」

女獄卒1「さっさと本当の名前言いなさいよ！」

貴女「痛いってばぁぁ！」

私は、彼女を助けに入った

鬼灯「そこまでです」

静かな、しかし怒りを込めた声で、私は女性たちに言いました

女獄卒1「ほ、鬼灯様…」

女獄卒2「でも、その女は…」

鬼灯「彼女は本物です」

女獄卒たちは泣いて去っていった

貴女「…あの…？」

彼女の声に、私は振り返る

鬼灯「Aさん、お久しぶりです」

貴女「…？？？」

鬼灯「覚えてませんか、私です」

貴女「……、…！」

私の角を見て、ハッとしたAさん

貴女「…丁くん！」

思い出してくれたんですね

私たちは抱き合い、再会を喜んだ

貴女「丁くん、大きくなったねぇ」

鬼灯「今は鬼灯です」

貴女「名前変えたんだ」

貴女がいなくなったの、改名前でしたからね