鬼灯の冷徹小話集☆その七 (ページ16)

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小話　誰のため？〜鬼灯〜ページ16

ごしごし

私は釜を磨いていた

鬼灯「Aさん、何してるんですか？」

貴女「あ、鬼灯さん」

額の汗を拭いながら、私は振り返る

貴女「ここ、しょっちゅう大王が落ちちゃうので」

鬼灯「あぁ…」

そう、ここは以前にも

大王が足を滑らせ落ちた場所

サタンが来たときも、

シロが地獄温泉に入りたいと言った日も落ちた

滑り止めテープも貼っておく

貴女「あ、そうだ、ここも…」

私は金づちと釘を取り出すと

トントンと傷んだ足場を補修した

大王が落ちた理由も、

足場が腐っていたから

貴女「こういうのはできる限り直しとかないと。それに自分でやれば修理費も浮くし」

安く済むしね

鬼灯「…………」

ひょい、と金づちや釘を取り上げられた

貴女「あれっ」

鬼灯「それは他の獄卒に任せなさい」

貴女「あ、なら私は他のところを…」

鬼灯さんに金魚ちゃんたちの水やりを頼まれた

鬼灯「…貴女が一生懸命になるのは、私だけでいいんですよ」

そのつぶやきにも気づかず、

私は金魚ちゃんのもとへと向かった

鬼灯side

彼女が誰かのために一生懸命になるのは許せません

それが大王や他の獄卒のためならなおさらです

大王「あ、Aちゃんここ直してくれたんだ、歩きやすくなってる」

鬼灯「……貴方がまず痩せればAさんの負担が減るんですよ！」

ガンッ！

大王「ぎゃーー！！」

この大釜のそばに、

「体重100kgまで」と立て札出そうかと

密かに思った

自分のために頑張ってほしい鬼灯さん
てか閻魔大王体重いくつだろ？？