教えてアゲル。【Kei.Inoo】

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慧『あとちょっとだからね』







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帰宅ラッシュの電車のなか。







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さりげなく角の方に連れてきてくれる慧くんは、自分で言うのもなんだけど自慢の彼氏。







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『慧くん狭いでしょっ、大丈夫？』







慧『俺はへーき！』


　

　


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男性にしては薄い胸板を見上げると、吐息がかかるくらいの近い距離。







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『…………うん、そっか』







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慧くんの大きな瞳に見つめられたら、目を合わせられなくて下を向いてしまう。







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慧『何照れてんだよ』







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指で鼻をちょん、とこする慧くんもきっと照れてる。







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『うるさいっ…………』







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慧『ほらっ、降りるよ』







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腕を引かれて、慧くんについていく。







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『寒いね〜…………』







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４月なのに、夜はまだこんなに寒いんだ。







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人が少なくて、夜だから見えないと思って。







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自分の腕を、慧くんの腕に絡ませる。







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すると、急に止まって。







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慧『さっきから、………誘ってるの？』







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さっきよりも、少しだけ低い声でそう呟いた。







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『えっ…………、どうして？』







慧『自覚ないなら、なおさらなんだけど』







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『怒ってるの…？』







慧『…………行くよ』







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私の問いに答えずに、歩き始めてしまった。







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『慧くんっ、…………』







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