教えてアゲル。【Kei.Inoo】

２０ ページ20

.







.







.







ﾊﾞﾀﾝｯ







.







.







『ひゃっ………』







.







閉まった玄関にそのまま押し付けられ、首に顔を埋められる。







.







.







首筋をなぞる慧くんの熱い舌が、私の神経を麻痺させていく。







.







.







『んんっ……、やだ』







.






.







だんだんと力が抜けてきて、慧くんに支えられる形になって。







.







.







慧『もう！俺、怒ってるかんね、』







.







.







軽々と持ち上げられて、ベッドにふわっと落とされる。







.







口ではそう言ってるけれど、壊れ物を扱うような手つきには説得力がなくて。







.







.







色んな気持ちが込み上げてくる。







.







.







思えばこの１週間、ずっと慧くんのこと考えてたなって。







.







.







あのとき、大貴くんといたよって正直に言っていれば、こんなことにはならなかったのかな。







.







.







…………大貴くん、私のこと好きって。







.







.







慧『他のことなんて考えんなよ』







.







無理矢理目を合わせられて、甘い口づけが降ってくる。







.







.







シャンプーの香りが鼻をくすぐり、私も無意識に慧くんの背中に手を回す。







.







だけど、すぐに頭上で手を掴まれて慧くんの片手に、私の両手が収まって。







.







.







『慧くん…、』







.







.







慧『大ちゃんに何されたの？』







.







急に真剣な顔になって、切ない眼差しを向けられる。







.







.







『何って、……』







慧『抱きしめられただけ…？』







.







.







そんなことに聞く慧くんは、手の力とは裏腹にすごく寂しそう。







.







.







いつも明るい慧くんを、こんな風にさせてしまっているのは私。







.







.







『ごめ…………なさ、い』







.

２１→←１９＿Kei

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す