元鬼狩りと刀 参

103 ページ3

不｢鬼殺隊の裏切り者ってことかァ！？｣

『そうだな』

冨｢何故、そんなやつの呼吸を．．．｣

『日の呼吸と最も近い呼吸のうちの一つと言えるからだ。』

竈｢｢！？｣｣

『上弦の壱･黒死牟。元の名を継国巌勝。始まりの呼吸である日の呼吸を作った、継国縁壱の実の兄らしい。
要するに、月の呼吸もまた、五つの基本の呼吸同様、日の呼吸から直接派生している。』

子孫｢！？｣

『最終決戦では合間見えなかったが、それより前に一度だけ刃を交えたことがある。
日が昇る直前に逃げられてしまったけれど。』

皆｢！！？｣

『これは型が一番多いんだ。さっさと行こう。』


日輪を抜き、構える。


『"月の呼吸･壱ノ型･闇月 宵の宮"』

三｢(月の斬撃．．．)｣

炭｢(これも、ヒノカミ神楽から直接派生したのか．．．)｣

冨｢(日と対になる、月．．．)｣

『…………"拾陸ノ型･月虹 片割れ月"』


全ての型を出し終える。


『最後に、私の使っていた神の呼吸。』

皆｢！｣


一番慣れた構えから始める。

濡れ羽色だったはずの髪が、群青に染まる。


皆｢！！｣

『"神の呼吸･癒･天照"』


日が沈んだはずなのに、暖かな陽光が境内を包む。


『"夜･月詠"』


一転、付けられた明かりをも闇が包み込む。


『"雷･武甕槌"』


バチバチと稲妻が走り、ﾄﾞﾄﾞｫﾝｯと雷がすぐ近くに落ちたような音が響く。


『"風･志那都比古"』


鎌鼬のように、鋭い風を纏った斬撃が数多く繰り出される。


『"水･須佐之男"』


岩肌をも削るような激流が、滑らかに振られる日輪刀に沿う。


『"炎･加具土"』


力強く真っ赤に燃え上がる炎が、上下に二回出される斬撃に纏う。


『"蛇･蛇神(カガチ)"』


黄金の瞳を持つ白蛇が、獲物を絞め殺すかのような様が、捩じ切るような斬撃と共に皆の目に映る。


『．．．"陰･神隠し"』


薄紫の靄が、Aを包む。

霞の呼吸の朧のようにも取れる技が繰り出される。

全ての型を出し終え、日輪を納刀する。

すると、群青に染まっていた髪が元の色に戻る。


不｢(まさか、もう名前しか残っていない呼吸全てを見れるとはな．．．)｣

炭｢(五つの基礎の呼吸全てが組み合わさったかのような．．．)｣

『あ、一つ忘れてた。』

子孫｢？？？｣

『怒られてしまうw
元妖柱の私の師範が使っていた、妖の呼吸だ。』

里｢妖の、呼吸．．．｣


長らく使っていなかった呼吸。

その懐かしいさに思いを馳せながら、そっと日輪刀を構えた。

104→←102

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す