愛寵噺【東京卍リベンジャーズ】 (ページ22)

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風邪【三ツ谷隆】ページ22

「……風邪引いちゃった」

季節の変わり目ということもあり、彼女は夏風邪を引いてしまった

症状的には、主に発熱と倦怠感であった

「会社には…有給使って休むって連絡した」

何日か有給が残っていたので使用して休みを取得した

「たまたまオレが休みでよかったな」

デザイナーが職業の彼は休みは不定期であった

「これで安心して、心置きなくAを看病できる」

彼は彼女を看病する気でいた

「なんか食べれそうなモンあるか？」

病人の彼女を気遣って彼は口にできそうなものを聞いた

「……メロンとうなぎ」

問われた彼女は値の張る好物を挙げた

「高ぇよ」

言いたいことはたくさんあったが、彼は的確なツッコミを入れた

「ふふっ。冗談だよ」

贅沢は言わないと言って彼女は軽くあしらった

「今、味濃いもの食べたら…吐く自信しかない」

味つけの濃い食事は病人にとって刺激物であった

「やわらかうどんが食べたい」

ほどよく伸びたもっちりした麺のことを指していた

「ん。作ってやるから待ってろ」

彼は彼女の頭を優しく撫でた後にキッチンに向かった

一方で彼女の方は…

自室にこもってベッドに入り、大人しく眠りについた

3時間後＿＿

「んっ…。…っ…私、寝ちゃってた……」

まだ微睡む目を擦りながら彼女はゆっくりとベッドから上体を起こした

「あっ。起きたか？」

彼は彼女がベッドに入ると…

すぐに寝るのを察していたので、彼女が眠っている間も傍らで見守っていた

「多分Aはベッド入ったら

すぐに寝るだろうなーって思ってた」

寝相がいい彼女はベッドに入った瞬間、すぐに睡眠の世界へ入った

「……案の定だね」

「少しは寝れたか？」

安心して眠れたかどうかを彼は彼女に聞いた

「うん…。それより、お腹空いた…」

返事をしながら彼女は空腹を訴えた

「メシ、できてるよ。温め直してくるわ」

要望通り食事は作ってあるので…

彼は温め直してから部屋に持っていくと告げた

「無理しなくても、食える量でいいからな」

数分後にすぐに戻ってきた彼は、手際良くテキパキとテーブルの上に料理を運んだ

「……タカちゃんの作ったご飯って、家庭的な味がする」

彼女はお粥をスプーンですくって一口食べた 

「あったかくて、優しい味…」