艶ノ譚肆【梵天】 (ページ33)

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稚児ページ33

同時刻＿＿

日本の犯罪組織は穏やかな日常を送っていた

首領を含めた幹部たちは…

大広間で育児について各々が調べていた

灰谷蘭「まぁ…言っても、この場には素人しかいねェからな」

佐野万次郎「当たり前な話だけど

Aも育児の経験はねェ」

灰谷竜胆「オレらも赤ん坊の世話するの手伝うよ」

彼らはAと赤子の世話に協力的だった

『みなさん…。ありがとうございます…！』

意外にも良心的な彼らにAは少し涙が出そうになった

灰谷蘭「あっ。今オレの顔見て笑った」

赤子が自分に笑顔を向けてきたのに対して、彼も自然と頬が緩んだ

灰谷竜胆「いや赤ん坊ってこんな可愛いかったっけ？」

この中で1番子育てに協力的な彼は、赤子の愛いらしさに癒されていた

佐野万次郎「毎日ってなったら

絶対世話すんの大変だと思うけど…」

首領は赤子の手に触れて、そのままそっと優しく握った

佐野万次郎「こういうのも意外と悪くねェかも」

鶴蝶「……いい経験になったな」

望月莞爾「普段とは違う…平和な空間だな」

大広間で首領と幹部たちが赤子と触れ合っていると…

ちょうど夜勤終わりのNo.2が帰宅した

三途春千夜「……結婚したのか」

夜勤明けで帰ってきたNo.2は、赤子を抱き抱えるAを見て一言告げた

三途春千夜「俺以外の奴と」

仕事終わりで帰ってきた彼はやつれた顔でAに問うた

灰谷竜胆「なんでそうなるンだよ」

灰谷蘭「勘違いもここまで来るとめでたいな」

九井一「いつものコトだろ。

三途は常に頭ん中花が咲いてンだよ」

佐野万次郎「そりゃあもう桜が満開」

付き合いが長い首領は特に三途の性格をよく知っていた

三途春千夜「稚児(ややこ)か。ここは託児所じゃねェンだよ」

「……？」

言葉が分からない赤子は不思議そうに三途を見ていた

灰谷竜胆「いや赤子相手になに言ってんの？」

灰谷蘭「赤さんビビって泣くだろうが」

「姐さんとくらげニキのトコが1番安全ッスね！」

「驚いた。竜胆さん意外と…協力的なんですね」

彼らは幹部たちと少し距離を置いたところで会話をしていた