艶ノ譚肆【梵天】 (ページ26)

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鉄骨ページ26

灰谷蘭「ちゃんと掴まってて」

彼はAに気を使って優しく告げた

『はい…。お願い、します…』

Aは控えめに告げて彼に運転の全てを任せた

灰谷蘭「ったく、イレギュラーとかマジでダリィわ」

エンジンをかけ直しながら吐き捨てるように放った

灰谷蘭「しゃーねーな。ひと仕事殺るか」

本来ならば彼らは出勤前である

にもかかわらず、別件を受け持つと告げた

「よォー……追い付いたぜ！！」

標的はフロントドアガラスを全開に開けて、Aたちに向けて大声で言った

「この辺なんか俺らの庭場みたいなモンだぜ」

ここら近辺はこの者たちの散歩道程度のようだった

「車さえ手に入れば…人間なんか用済みなンだよ」

「数的にはこっちが有利だし。早いとこ殺ろうぜ」

「そんで帰ってパーっと飲み明かそうぜ」

標的は有勢な自分たちが勝つと意気込んで、勝手に舞い上がっていた

灰谷蘭「やってみろよ。クソ野郎が。

テメェらの車なんか…霊柩(れいきゅう)車にしてやるよ」

殺意を込めて放った彼は、墓場に送ってやると告げた

灰谷蘭「A。少し飛ばすから」

そう言って彼は先程よりも徐々に加速させた

首都高をしばらく走行していると…

道中の坂道で、鉄骨を発見した

灰谷蘭「あっちの車両…工事中か」

周りを確認してみると高速道路を工事中の車両があった

灰谷蘭「ちょっと葬儀屋(あいつ)に連絡するかな」

彼は運転をしながら器用にスマホを使い、部下と連絡を取った

灰谷蘭「よしっ。後の始末はあいつに任せた」

チャット形式で数回連絡を取り合った後、彼はAに向き直った

灰谷蘭「A。アレ、狙える？」

彼は工事中の車両を指さしてAに告げた

『えっと……鉄骨、ですか…？』

言われた方角を確認したAは、彼が何を言いたいのか大方予想はついていた

灰谷蘭「そ。オレがAに合図出すから…

タイミング見計らって銃で落としてほしい」

これからする事をAに説明して指示を出した

灰谷蘭「後ろの奴らに向けて」

そして後処理は部下に任せたと追記した

『……っ…自信はないですが、やってみます…』

中々に大掛かりな上に大役を任されたAは、少し自信がなさそうであった