四十九 ページ12
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危険を察知したのか検非違使たちは一斉に逃げ出した。元々機動力の高い槍たちのことだ。深追いしても無駄だと考えたのか皆追いかけるような真似はしない。
辺りを見回して今剣に目を留める。
「今剣! 怪我は……」
止血剤は生憎持っていない。いや、刀剣男士たちには手入れ道具がなければ無理だ。
「大将、手入れ道具なら持ってきた!」
厚たちがビルの屋上から飛び降りて静かに着地した。全員リュックを背負っており、厚が手入れ道具を出す。
「この傷なら中傷ってところだな……」
薬研が手入れ道具を持ち、ビルへ今剣を運ぶよう指示する。そういえば何時も刀剣男士たちの治療をしているのは彼だった。
「にしてもよく此処に来れましたね。一気に皆が来たら大変なことになるんじゃ……」
「其処はこんのすけと政府の調整でいろいろと……な」
厚は悪戯っぽく笑い、あれ? と声をあげた。
「服装随分と変わってる……よな」
「嗚呼、この時代に合わせたものです。あのままでは目立つので」
厚たち粟田口の服装は私立学校の制服という感じがするので大丈夫そうだ。探偵社にもそう誤魔化しておこう。
「……ん?」
五虎退がリュックの中身を見ては慌ててチャックを閉めている。こっそりと後ろから近づくともぞもぞとリュックが動いているのが見えた。
「五虎退?」
「はいっ!?」
リュックから鳴き声が聞こえる。
「あれ? もしかして虎たち連れてきたんですか?」
この時代で虎など出せば色々と面倒なことになる。
リュックの中からはまた鳴き声が聞こえ、五虎退は困ったような表情でリュックを押さえた。
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織川(プロフ) - カティさん» ありがとうございます!こちらでもよろしくお願いします! (2018年3月27日 12時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
カティ(プロフ) - 続編おめでとうございます! (2018年3月25日 18時) (レス) id: 0319e8dbc2 (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - ななこさん» ありがとうございます!更新がんばりますね……! (2018年3月22日 20時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
ななこ - 続編おめでとうございます!新着確認したら見つけたのですぐに飛んできました!更新頑張ってください! (2018年3月22日 20時) (レス) id: d4cba68423 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:織川 | 作成日時:2018年3月22日 20時