【薄桜鬼】俺の嫁さん 弐

其の参拾伍 ページ5

朝餉後。
千鶴はAと原田とでのんびり食後の談笑を楽しんでいた。



｢Aちゃんさっき朝餉に来るとき女物の寝間着のままだったけど、大丈夫なの？
隊士の皆さんに性別を知られてしまったりとか…｣

｢ん？ああ。ふふ｣



心配そうな千鶴を余所に原田とAはにこやかである。
楽観的な様子でにこにこ笑っているAに千鶴は更に怪訝な表情を浮かべる。
よっぽどAのことが心配なのであろう。

そんな千鶴の表情を見てAはまたくすりと楽しそうに笑った。



｢みんな、わたしの性別のこと知ってるよ｣

｢え？｣

｢Aも俺らと同じさ。試衛館時代から一緒だからな｣



そう。Aは幼い頃から試衛館で過ごしており、今に至る。
幼い頃とはいえ、九つ頃で内弟子となった総司のような幼さではなく、Aが内弟子となったのは十代半ばであったが…。
つまり、新選組結成以前より在籍していたAは、もちろんある程度の身の上は隊士たちに承知され、その上で認められている。
だとしたら、何故皆と同じような格好をしているのだろうか。



｢じゃあなんで男姿を？｣

｢んー、なんとなく。みんなと同じがよかったからかな｣

｢そっか｣



Aはにこやかに微笑み、鍛練に勤しむ隊士たちを見つめそう答えた。
そんなAを見て千鶴も何故だか穏やかな温かい気持ちになった。

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桑島法子

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