俺だけの天使。３

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「きみくん？」


「・・・今は俺ん事だけ見て」


「・・・」


章大の頬が、ぽっと染まる音、
今、確かに聞こえたよな？


ぎゅっと手を繋ぎ直して、
二階の東向きの角部屋に入る。



中から、鍵、かけてもうた。

もう誰にも邪魔されへんように。



窓際にベッドが二つ並んでる。


そこに章大を連れてって、
ぽすんと座らせて。

俺も向かい合うようにして、
座ったもんの。

膝付き合わせて、
いざってなると、
めちゃくちゃ緊張するやん。

沈黙に耐えられそうもない。

なんか、なんか話さんと。

けど話題なんてないし。

いや、話してる場合ちゃうやろ。


どやって、ええ雰囲気に持っていこう。


「章大」

「きみくん」


声が重なってもうて、
ますます気まずい。


「ん？何？」


章大に譲ったのに、


「なんでもないん。
きみくんも、なんか言いかけたやんか？
なんやった？」


逆に聞き返されてもうた。


「何って、特には俺も、ないねんけど。
いや、ない事も、ないけど、」


「何それぇ？どういうことぉ？」


章大が、けらけら笑う。

そん顔が可愛い過ぎて、

胸がきゅーって締め付けられる。


わき起こる衝動のまんまに、
章大のやらかい髪、手のひらで撫でて、
短いキスしてた。


「章大、改めて言うん、めっちゃ恥ずいねんけど・・・」


「うん？何ぃ？」


「あんな、俺、その、
章大と、」


なんて言おう。

どう言うても
無垢な天使みたいな章大には、
似合わん表現なってまうやろ。

思いあぐねてるうちに。


「きみくん、無理せんでもええよ」


章大の方が、意味不明なことを言い出した。


「無理ってどういうこと？」


「ええねん。
何でもないん・・・
きみくん、はよ寝よ」


章大、珍しく、歯切れ悪い。

ごにょごにょ言うて。


恥ずかしいんか、
夏の薄い掛け布団、
頭から被って、
隠れてもうた。

可愛ええ顔、見たいのに・・・


「隠れたらあかん」


「やって、恥ずかしいもん」


「ええから。
ちゃんと顔見せとき？」


布団剥がそうとしたら、
章大がさせへんようにって逃げるから。

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