闇の帝王の所有物【トム・リドル】 (ページ6)

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次の日もAは会いに行った。

いつにもなく不安定なリドルが心配だったというのもある。

日をまたぐのもなんかなぁっと思ったのもある。

やっぱりいつもの場所にリドルはいてAはちょっと安心したようにかけよった。

『昨日ぶりだね。元気？』

「それなりに」

『ふーん？』

なんだ。いつもの調子に戻ってるじゃないか。

Aは今度こそ安心してにこにこしながら隣に座った。

そして手を握られる。⋯え、握られる？

するり、と。当たり前のように恋人つなぎをしてきた手にAは理解が追いつかなかった。

しかもなかなか手ごわい。⋯手だけに(氷河期)
さりげなく離そうとしても全然離してくんない。

それどころか不機嫌そうに力を強めてくるから困る。

え、私なんかした？

「A、君は僕のものだろ」

『え？あー⋯うーん』

リドルくんの？え、私ものじゃないんだけど。

でもそう素直に言えない。嫌われたくないし。

唸っていると握る力を強めてきたから慌てて頷いた。

『多分そうだと思う！』

「悪くはないね」

リドルは満足げに笑うとなんともあっさり手を離した。

「僕は他のやつらとは違うんだ」

Aは『へぇ』と呟いた。

何が違うというのだろうか。
たしかに飛び抜けて綺麗な容姿はしていると思う。

「不思議な力が使える」

『え！？』

予想の斜めいく回答にAはあっけにとられた。

「人を傷つけようと思えばできるし
動物を思いのままに操れる」

そこでリドルは言葉を切った。なんだか何も言わないAに苛立ちが溜まっていった。

やっぱりお前も僕の精神が狂っていると、そう思うのか？

リドルがそう怒鳴ろうとしたときだ。

『わ、私も⋯』

「は？」

『私もできるよ』

ぽつりとAが呟いた。
信じられないという顔で、同時に安心したような顔で笑った。

一人じゃなかったのだ。

やっぱりすごく嬉しかった。