闇の帝王の所有物【トム・リドル】 (ページ14)

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誤魔化しが効かなくなるのに時間はそうかからなかった。

ちょうど手紙が届いてから太陽を10拝んだ頃、

文月も後半に差し迫った日。

それが暖炉の中から飛び出した暁には、夕食中のテイラー一家は度肝を抜かれた。

「A！！」

部屋に響き渡った怒号に、暖炉へ向けていた視線をハッと両親に向けた。

「悪戯はやめなさいって言ったわよね」

『え⋯』

Aはぱっと目を見開いた。

『い、悪戯？』

ちがう、私悪戯なんてしてないよ。

Aは困って父親に目を向けた。
しかし、その直後Aは一瞬息が止まった。

「何度言ったら分かるんだ？A
変なことはやめろって言っただろ

この前はお友達の口をくっつけて今度はなんだ？暖炉から手紙？」

ちがう。私じゃない。

しかし父さんははぁっと大きくため息をついた。
かと思えば声を荒げた。

「どうやってるのかは知らないがお前のそのイタズラは度が過ぎるんだ！」

『ちがう、私じゃ⋯』

「あなたくらいなのよ、こんなおかしなことやらかすのは」

思わず息を呑んだ。

それって、

『それって⋯どういう意味？』

ふるえる唇が紡ぐ。

ポツリと出た言葉は雨の勢いが強まるように、せきを切ったように止まらない。

『私は⋯私はおかしいってこと？
普通じゃないからって、だから母さん達は信用してくれないの？
私は努力してるのに！！』

ダメだ。これ以上言っちゃいけない。みんな困ってしまう。

─わかってるのに。

『普通になれるように、みんなに馴染めるように私が頑張ってるの知らないでしょ！
でも無理だったから！だから、せめて⋯せめて』

いい子になろうと頑張ってるんだよ

泣きそうになって俯いて呟いた言葉。
しかしガタッという言葉が聞こえAは驚き顔を上げた。