闇の帝王の所有物【トム・リドル】 (ページ2)

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東洋では逢魔が時というらしい。

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『なにしてるの？』

「お前には関係ない」

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幼いAはその刻に家を抜け出した。

あてはない。

ただ、この家はどうも居心地が悪かったから。

塵も積もれば山となる。幼いながら限界だったのかもしれない。

どこへともなく歩いた。
右へ。左へ。ときにはまっすぐ。ふらふらと。

そして出会ったのだ。彼と。

小川の向こう側へ居た。

雪の降る中、本を読む彼にAは質問した。

そっけない態度をされても別に気にしなかった。

だって、なんだか彼は自分とにている気がして。

横に座って首を傾げた。

そしてまた聞いた。

『寒くないの？』

「寒い？僕が？」

彼はハッと鼻先で笑った。
Aは『ふーん』と呟いた。

『私は寒いよ。手だってこごえそうだ』

「ふーん」と次につぶやくのは彼の方だった。

『もう睦月なのにね』

「だからだろ」

そう言いながら本のページをぺらりと捲った。
もう興味がないのかもしれない。

『名前はなんていうの？私はA』

そう言うと彼はAを変なものを見る目でみた。
だけど少しして小さい声で呟いた。「⋯リドル」

『変な名前だね。ファミリーネーム？』

「悪いか？」

イラッとしたように眉を寄せたのを見てAはケラケラ笑った。
あまりに無遠慮である。

面食らったのはリドルの方だ。

『いンや？いい名前だね』