検索窓
今日:1 hit、昨日:18 hit、合計:9,063 hit

58 ページ8

「ん、全然。なんのことやろぉなぁって。でもお前の悩みの元がもしかして結婚話かと思って、様子見ながら答えてたら、どんどん沈んでいくから、わかりやすかったわ。」

「いや、フォローしてくれます?僕、意味も分からず心がこう、何ていうのか…もう、最悪やったんですよ!」

「解消できてよかったやん。」

「え…」

「結婚話は、またどっかの誰かが流したデマらしいで。あの取引先、ちょっとトラブルを抱えてるらしくて、巻き込もうと思ったんちゃうか?」

「まだそんなんあるんですか?」

「大倉さん、優秀やから、妬みも受けやすいんやな。」

ぎゅっと胸が締め付けられる。守ってあげたいという言葉が頭に浮かんだ。

「僕…大倉さんのことが好きなんでしょうか…?」

「…え?」

「え?」

「いや、それしかないやろ。」

「そうなんですか?」

「お前、あほなん?」

「グッ…酷い。」

「お前、ほんまになんか欠落してんの?仕事は普通にしてんのに。」

「欠落…」

「昔の酷いことが引っかかってんのか?」

「嫌なことがあって、もう恋愛はせーへんって頑なになってて、誰に甘い言葉を言われても全く揺るがんくなってて…」

「そんなにか。」

「うん。それやのに大倉さんには、なんか…心がグラグラするというか…怖くて、これ以上近づいたらあかんとか…もう、よくわからん…」

すると村上さんは驚くほど優しい表情をしてこちらを見た。

「それやったら、大倉さんと沢山一緒に過ごし。ちょっとくらい嫌なことがあっても、踏ん張って一緒におったらええわ。固まった氷はすぐには溶けへん。ゆっくり大倉さんにあっためてもらい。」

頭に軽く置かれる優しい手のひら。僕を思いやってくれる。兄貴がおったらこんな感じなんやろうか。

「わかったんか?」

「うん。」

「それよりお前、つまりは大倉さんはお前のことを好きやと告白してきたということやな?」

今度は興味津々で、キラキラした瞳を向ける。ほんまに面白い人。

「あ、昼もう過ぎますよ。急ぎましょう。」

「おい、それは詳しく聞くぞ!お前、俺らのことだって散々話してんねやから。」

「そんなん村上さんが勝手に話してるだけやし!」

「はあ?幸せのお裾分けやないか!お前もお裾分けしろ!」

「さ、帰ろー!」

村上さんはいっつも前向きな力をくれる。やってみようと思わせてくれる説得力はほんまにすごい。

自分の気持ちぐらい、自分でちゃんと分からんとあかんわ。

とりあえず出来ることは…

59→←57



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (27 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
39人がお気に入り
設定タグ:丸山隆平 , 倉丸
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

orange(プロフ) - いつもありがとうございます。この場所があって、たくさん倉丸ちゃんに浸れるので、日々の活力になっています。また見に来てください! (2023年1月23日 22時) (レス) id: 12b1e8c154 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - お疲れ様でした。いつも物凄く楽しみにしています、この二人のお話が少ないので強火の倉丸担オタクとしては最高に嬉しいです。次回作も楽しみに待ってます。 (2023年1月23日 8時) (レス) @page32 id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:orange | 作成日時:2023年1月7日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。