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「ん、全然。なんのことやろぉなぁって。でもお前の悩みの元がもしかして結婚話かと思って、様子見ながら答えてたら、どんどん沈んでいくから、わかりやすかったわ。」
「いや、フォローしてくれます?僕、意味も分からず心がこう、何ていうのか…もう、最悪やったんですよ!」
「解消できてよかったやん。」
「え…」
「結婚話は、またどっかの誰かが流したデマらしいで。あの取引先、ちょっとトラブルを抱えてるらしくて、巻き込もうと思ったんちゃうか?」
「まだそんなんあるんですか?」
「大倉さん、優秀やから、妬みも受けやすいんやな。」
ぎゅっと胸が締め付けられる。守ってあげたいという言葉が頭に浮かんだ。
「僕…大倉さんのことが好きなんでしょうか…?」
「…え?」
「え?」
「いや、それしかないやろ。」
「そうなんですか?」
「お前、あほなん?」
「グッ…酷い。」
「お前、ほんまになんか欠落してんの?仕事は普通にしてんのに。」
「欠落…」
「昔の酷いことが引っかかってんのか?」
「嫌なことがあって、もう恋愛はせーへんって頑なになってて、誰に甘い言葉を言われても全く揺るがんくなってて…」
「そんなにか。」
「うん。それやのに大倉さんには、なんか…心がグラグラするというか…怖くて、これ以上近づいたらあかんとか…もう、よくわからん…」
すると村上さんは驚くほど優しい表情をしてこちらを見た。
「それやったら、大倉さんと沢山一緒に過ごし。ちょっとくらい嫌なことがあっても、踏ん張って一緒におったらええわ。固まった氷はすぐには溶けへん。ゆっくり大倉さんにあっためてもらい。」
頭に軽く置かれる優しい手のひら。僕を思いやってくれる。兄貴がおったらこんな感じなんやろうか。
「わかったんか?」
「うん。」
「それよりお前、つまりは大倉さんはお前のことを好きやと告白してきたということやな?」
今度は興味津々で、キラキラした瞳を向ける。ほんまに面白い人。
「あ、昼もう過ぎますよ。急ぎましょう。」
「おい、それは詳しく聞くぞ!お前、俺らのことだって散々話してんねやから。」
「そんなん村上さんが勝手に話してるだけやし!」
「はあ?幸せのお裾分けやないか!お前もお裾分けしろ!」
「さ、帰ろー!」
村上さんはいっつも前向きな力をくれる。やってみようと思わせてくれる説得力はほんまにすごい。
自分の気持ちぐらい、自分でちゃんと分からんとあかんわ。
とりあえず出来ることは…
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orange(プロフ) - いつもありがとうございます。この場所があって、たくさん倉丸ちゃんに浸れるので、日々の活力になっています。また見に来てください! (2023年1月23日 22時) (レス) id: 12b1e8c154 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - お疲れ様でした。いつも物凄く楽しみにしています、この二人のお話が少ないので強火の倉丸担オタクとしては最高に嬉しいです。次回作も楽しみに待ってます。 (2023年1月23日 8時) (レス) @page32 id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:orange | 作成日時:2023年1月7日 21時