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「でも、彼女がいたんだから、偏見がないとはいえ、男の俺に好意を持たれていること、彼なりに悩んだのかもなとも思います。」
もう帰ってこない過去のこと。こうやって繰り返し考えているんだろうな…
「俺、彼に出会う前も、いくつか恋愛はしてたんですけど、帰ってきてからはなかなか。寂しさを紛らわせるために付き合ったこともありますけど、長続きしませんでした。」
僕だけじゃない。大倉さんも、いや、きっとほとんどすべての人が、上手く行かない時期を経験してる。自分だけが不幸だなんて、なんて身勝手な考えやったんやろう。
「順風満帆な人生なんて、どこにもないんかな…」
自分ばっかり悲惨な人生やと勘違いして生きてきてしまった。
「僕は、自分のこと、随分甘やかしていました。誤魔化して、逃げて…人のせいにして…」
「それは、きっとそんなことないですよ。丸山さんの優しさは、ちゃんと自分と向き合ってきた人にしかない優しさです。」
大倉さんの言葉はとても優しい。でも、ほんまに自分の気持ちと向き合えているのか、全く実感がない。
大倉さんの話と、自分のこと。頭の中でぐるぐると考えていると、隣の大倉さんがスッと背筋を伸ばした。
「丸山さん、聞いてくれてありがとうございました。すみません、嫌でしたね、昔のことなんて。」
「いいえ。話してくれてうれしかったです。」
「ほんとに？じゃあ、よかった。なんか、丸山さんには俺のこと全部知ってほしくて。」
ふと、優しく微笑む大倉さん。
「あの時。車の中で話を聞いてもらった時にね…。背中を撫でてもらってとても安心したんです。何度も何度も。あまりに優しくて、心の傷から痛みが引いていくような感覚になったんです。」
柔らかい大倉さんの手が、僕の手にそっと重なる。
「そこからどんどんあなたにのめり込んで。何をしても愛しくて、誰にも渡したくなくて。こんなに欲しいと思ったのは丸山さんが初めてです。」
握る手に、ぎゅっと力が入る。
「あなたのこと、自分の手で幸せにしたい。」
真剣に言われて、思わず大倉さんの方を見る。僕は大倉さんの瞳から目をそらすことが出来なかった。だって、本気だって伝わったから。
僕は何をいつまでも頑固に好きの気持ちを誤魔化しているんやろう。こんなにもこの人のことが好きなのに。
ようやく僕は、この真剣な瞳を真っ直ぐに受け止めた。
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orange(プロフ) - いつもありがとうございます。この場所があって、たくさん倉丸ちゃんに浸れるので、日々の活力になっています。また見に来てください！ (2023年1月23日 22時) (
レス) id: 12b1e8c154 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - お疲れ様でした。いつも物凄く楽しみにしています、この二人のお話が少ないので強火の倉丸担オタクとしては最高に嬉しいです。次回作も楽しみに待ってます。 (2023年1月23日 8時) (レス) @page32 id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：orange | 作成日時：2023年1月7日 21時
