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「マル、ヤスがうれしそうに連絡くれたで。」
「ヤス？」
「安田さんや。安田章大。」
「あ、先生か。そんなに仲いいんですか？」
「まあな。誰でも１回会えば友達や。」
「ふふ。村上さんらしい。」
「ヤス、めっちゃ良い奴やから、大事にせーよ。」
「ん。わかった。」
毎週行って分かるのは、安田先生のセンスがすごいということ。そして教え方がとても上手だということ。絶対に相手のことを否定しない。生徒から個性を引き出し、それに合うアイデアを、惜しみなく提供してくれる。
「丸山さん、めっちゃええの出来てますね。」
「そうですか？」
「うん。俺、好きやわ。」
パーッと明るい気持ちが広がる。
「先生にそんなん言ってもらえたらめっちゃうれしいです！」
テンションが上がってそう言うと、先生が固まったようにこちらを見る。
「先生？」
「丸山さんて、ほんまに…」
「え？」
「あ、いや…別に。」
その時、受付の方で生徒さんたちが黄色い声を上げて騒ぎ出した。
反射的にそちらに顔を向けると、しばらくして背の高い男の人が登場する。
「あ…」
そこにはあの陶芸展で会った大倉さんの姿。え、なんで…
「あ、大倉！」
「ヤス、久しぶり。やっと来れたわ。」
親しげに話をする二人。じっと見てしまっていたのか、大倉さんがこちらに気づく。
「あ！」
目が合ってすぐ、驚いたように大きな声があがる。
「陶芸展で会った人！」
途端にものすごくきれいな笑顔。大きな体がのしのしと近づいてきた。
「わあ！まさか再会できるなんて！あの時は、僕の作品を観ていただいてありがとうございました。」
「い、いえ…」
「陶芸、初めてって言ってはったけど、興味持ってくれたんですね。」
「なんや、大倉、知り合いなん？」
安田先生が声をかける。大倉さんが陶芸展で会ったことを伝えると、何となく悔しそうな表情。
「俺も出品すればよかった。」
「お前が出品したら全部お前の作品に持っていかれるわ。」
見た目に反してというか、とても早口で、豪快に笑う大倉さん。自己紹介をするとあの時のことを思い出しながら話をしてくれる。
「俺の作品をあまりにもじっと見てはるから、これは声をかけないとあかんと思って。」
「あ、あの作品、今うちの家にあります！」
「え！？マジで！！めっちゃうれしい！あれ、結構力作というか、気に入って作ったんですよ。」
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作者名：orange | 作成日時：2022年12月27日 14時
