群青の星 (ページ30)

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「なぜ？」

「なぜって…」

「丸山さん、素敵なのに。」

ふと顔をあげる。そこにある真剣な瞳。心臓がバクバク音をたてる。目をそらすことが出来ない。

「ふふ。そんなにじっと見られたら照れますね。」

「あ…」

いや、先にじっと見てたのは大倉さんの方やし。こんな色っぽい顔されたら、女性はイチコロやと思うねんけどな…

「大倉さんはどうなんですか？パートナーがいない時期なんてないんとちゃいます？」

「そんなことありませんよ。」

「え〜、それこそ嘘でしょ。」

「嘘じゃないです。俺は一途なんで。本気になれる人があらわれるまで適当な付き合いとかしないんです。」

「すごい。」

「そうでしょ？」

フラフラと一夜の相手を探しているような僕とは違うな。

「結婚は考えられたりしなかったんですか？」

「ん〜…それは…はい…」

「あ、すみません、立ち入ったことを聞いてしまいましたね。」

「いいえ！その、だから、真剣ではあるんですけど、タイミングが合わないというか…試行錯誤しているうちに冷めてしまうというのか…」

なんだか珍しく辿々しい大倉さん。

「丸山さんは、その、あ〜…」

「はい？」

「…いえ。何もありません。」

俯いてしまった大倉さん。落ち込んでる？なんやろ。話題を変えたほうがええかな。

「丸山さん、俺、頑張ります。」

「ん？」

「見ててください。とりあえず、企画三課、盛り上げますから。」

キラキラとした表情。やっぱり大倉さんてめちゃくちゃ格好いい。モデルみたいな大倉さんが子どもみたいに笑うのが、とても素敵で胸が高鳴った。

◇

「え？親睦会？」

「そーや。それぞれの課から何人か参加させろって。」

「なんですか、その親睦会。」

「全員は無理やから行ける奴来いってことやろ。」

「それやったら課長が行くべきじゃないですか。」

「そんなもん、めんどくさい。」

「…は？」

「あの、松岡課長。最近丸山さんに甘えすぎちゃいます？なんや言うたら丸山さん丸山さんて。」

「甘えてねーよ。こいつはもっと出世すんの。お前らももっとこいつを見習って働けよ。」

「あ〜、じゃあ丸山さん、頑張って。」

「え。」

「出世して俺らも引き上げてください。」

「お前ら自分で努力しろ！！」

「めんどくさいっす。」

「はあ！？そんなとこだけ真似すんな！」

「(笑)」

いや、笑ってるけど、僕が親睦会に行くのは確定なんだね…