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マルのほんまに思いやりのある言葉。友だちとして、弟としての俺に向けられた優しい言葉たち。友だち…弟…。当たり前やんか。でも…
「マルから離れろってこと?」
「離れるとかじゃないよ。それぞれの道を進んでも友だちには変わりない。」
「マルは俺がいらんの?」
「いらんなんて、そんなわけないやん。大切やからちゃんと自分の人生を考えてほしいねん。」
マル…お願いや。俺をずっと側に置いて…。喉元まで出ているのに。でも…。自分のことでめっちゃ苦しんでいるはずやのに、こんなにも俺のこと考えてくれてるんや。気持ちをぶつけるなんて、俺には…
「わかった。ありがとう、マル。ちゃんと自分の人生を考えてみる。」
「ん。亮ちゃんの将来、めっちゃ楽しみやわ!」
「おう!期待しとけ!」
「うん。有名人になっても、俺のこと忘れんといてや?」
「…忘れるわけないやろ。」
「ふふ。うれしい。あ、遅くなってしまったな。寝よか。」
「そやな。先戻って。俺、水飲んでから行くし。」
マルの背中を見送って、しばらくリビングで動けない。終わったんかな…。この気持ち…もう忘れなあかんのか…
「亮。」
「わっ!親父!?…え、まさか聞いてた?」
「まぁな。」
「…というわけで、俺は親父の仕事を引き継ぐことを考え直します。」
「…伝えなくてええんか?」
「…は?」
「お前の気持ちや。」
「え…はぁ?何を…」
「後悔せーへんのか?…今はSPと違う。お前の父親や。」
「…ふっ。大学生にもなって親父に恋愛相談なんかするかよ。」
「亮…」
「はぁ〜。後悔はするかもな。伝えても伝えんでも、どっちにしてもするんやと思う。それやったらマルが傷つかへん方を選ぶ。」
「隆平様の気持ちが変わることもあるかも…」
「ないな。俺には向かん。俺は友だち。弟。その線を越えたら、もう会うことが出来なくなるくらい拗れるわ。」
「そうか。」
「ん。」
「…抱きしめようか?」
「はぁ!?いらんし!」
「…じゃあ、これ。」
「なに?」
「タオル、いるだろ?」
「…ありがと。」
暗い廊下を暗い気持ちで戻る。明日にはいつも通り、マルの友だちで弟。将来に夢を持った…
「ウッ…マル…」
晴れの日が良く似合う、太陽みたいな笑顔。
「明日、晴れるといいな…」
こんなにも好きやったんや、俺。こんなにも涙って出るんやな。マル…俺…マルの幸せを誰よりも願ってるんやからな…。
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orange(プロフ) - ありがとうございます!コメントをいただけてとてもうれしいです。更新、少しのんびりしますが、よろしくお願いします☆ (2021年4月24日 18時) (レス) id: 7529fcda00 (このIDを非表示/違反報告)
akao(プロフ) - はじめまして^_^いつも更新楽しみにしています☆2人がどうなっていくのかワクワクしてます^_^これからも更新無理なく頑張ってください^_^ (2021年4月21日 19時) (レス) id: 078dcaab9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:orange | 作成日時:2021年3月21日 20時