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なんや、めっちゃ喜ぶやん。マルもよー喜んでくれるよな…。ほんまやったら今日はマルと合う日やのに。あいつ、何してるやろ…
「あれ…気のせいか…」
乗り物の列に並びながら、なんとなく視線を感じて振り向いたけど、そこは人だかり。知ってる顔もなくただの勘違いだったのかと思う。
「デートなんて久しぶりや。」
「そうなん?めっちゃモテそうやのに。」
「全然やで。作ろうとも思ってなかった。海外行かなあかんし。」
なんやかんや、2人でずっとしゃべってる。こいついっこも飽きひん。めっちゃおもろい奴やん。散々乗りまくって、俺は乗り物が苦手なんも日が沈みかけてから思いだし、急に気分が悪くなる。
「大丈夫?」
「カッコ悪いわぁ。すまんなぁ。」
「言ってくれたらよかったのに。私こそごめんな。」
「いや、楽しかったから忘れてたんや。」
「そう?うれしい…。あれ…雨…?」
あんなに晴れとったのに急に雨になる。なんや暗い雨やな…
「すばるくん、屋根のあるとこ行こう。動ける?」
雨の色はどんどん濃く、暗くなる。なんでかマルの切ない瞳が思い浮かぶ。
「マル…」
「え?」
「あ、いや、なんもない。お前、濡れてへんか?」
「うん。大丈夫。」
そのまま雨はやむことなく、傘を買って駐車場まで行ったら、そのまま彼女を家まで送った。
「ありがとう、すばるくん。あの…」
「こちらこそありがとう。楽しかったわ。また会えるかな?」
「えっ!」
「いや、また会いたいなって…」
「う、うん!是非!お願いします!」
「ん。じゃあ、また連絡するわ。」
「うん。気をつけて。」
車の中、とうとうこの時が来たって思う。マルとはもう会えない。俺は、あいつを背負っていくことは出来ない。やっぱり女の方がしっくりくる。自然や。でも…なんでか涙が溢れる。マルにもう会えない…あの瞳を誰よりも近くで見ることはないんや…。マル…ごめん。
「すばる!相手さんから連絡あったぞ。是非前向きに進めたいってことや。」
「ん。そのつもりや。」
「おお!そうか!じゃあ結婚してから海外行くか?」
「いや、そんな急に進めへんわ。まだ会って一回目やで?」
「まぁ、そやな。ほんなら海外に行く準備をとりあえず進めて行こか。」
それから一週間。彼女と毎日の電話やメール交換。あの日以来、空がずっと重たいまんまや。ニュースも暗いニュースばっかり。そういえば、マルと雨はよく結びつく。明日も雨やろうか…。
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orange(プロフ) - ありがとうございます!コメントをいただけてとてもうれしいです。更新、少しのんびりしますが、よろしくお願いします☆ (2021年4月24日 18時) (レス) id: 7529fcda00 (このIDを非表示/違反報告)
akao(プロフ) - はじめまして^_^いつも更新楽しみにしています☆2人がどうなっていくのかワクワクしてます^_^これからも更新無理なく頑張ってください^_^ (2021年4月21日 19時) (レス) id: 078dcaab9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:orange | 作成日時:2021年3月21日 20時