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結局マルとすばるくんの関係は続いてる。いとおしそうにベースの手入れをするマル。そんな切ない顔すんなよな…
『ほんなら俺から奪ってみろや!』『仲間や友達程度の奴に奪われるとは思わんけどな。』
すばるくんに言われた言葉がずっと頭に残ってる。奪う?俺が?
「はぁ…」
マルちゃんは大事な友達で仲間や。それを傷つけられて、そんなん俺には黙ってられへんかった。そう…友人として…
「大倉?どうしてん?」
「ヤス…いや、なんもないで。」
「そうか。ほんなら帰るか。たまには食べに行こ。」
「おお、そうやな。ん…今日は焼き肉やな。」
「ええやん!」
ヤスとはめっちゃ気が合う。バンドを続ける上で一番何も気を使わずに相談できる相手。大学院に進んだマルはあと一年おるから俺と同じ時期に卒業やけど、亮ちゃんとヤスは今年度卒業。バンドは一旦休止かな…
「バンド、おもろかったなぁ。」
「なんやねん、しみじみと。」
「お前と亮ちゃんの声。マルのベースとハモり。みんな好きやったなぁ。」
「まぁ、青春やな。」
「ヤスは決まったんか?」
「ん。デザインの勉強で色んな国を回ろうと思ってる。」
「そうかぁ。有名ブランドやもんなぁ。引き継ぐとなったら大変や。」
「大変…まぁ、そやけど、めっちゃ楽しいで。」
「お前のそういうとこ見習うわ。」
「ふふっ。そうした方がええで。お前はごっつい財閥やからか知らんけど、年々眉間にシワがよって、色々考えてる感じするわ。」
「そうか?」
「うん。タバコも酒も量が増えた。女も。」
「改めて言われると、俺、荒れてるな。」
「そう見える時があるで。」
「なんかなぁ…。関わる人が多いねん。王族から官僚、政治家、警察官、大企業の社長、中小企業、それに裏社会の要人。」
「すげぇな。」
「つきあい方のバランス難しい。特に裏っかわの人ら。調子ええこと言うてくるけど、こっちが一つでもミスをすれば絶対に噛みついてくる。」
「こわぁ。」
「うん。世間はこういう繋がりを絶対に許さへんけど、そこが保ってくれる社会もあるのは確か。繋がっているとこは見せられへんし、雑にも扱われへん。」
「金のやり取りってこと?」
「まぁ、ざっくり言えば。直接的じゃないで。互いの動きで出てくる利益がお互いを保ってる。」
「難しいわ。俺が店出すときはよろしくな。」
「ははは。俺がちゃんと引き継げてたらな。」
「お前なら大丈夫。」
「そう?」
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orange(プロフ) - ありがとうございます!コメントをいただけてとてもうれしいです。更新、少しのんびりしますが、よろしくお願いします☆ (2021年4月24日 18時) (レス) id: 7529fcda00 (このIDを非表示/違反報告)
akao(プロフ) - はじめまして^_^いつも更新楽しみにしています☆2人がどうなっていくのかワクワクしてます^_^これからも更新無理なく頑張ってください^_^ (2021年4月21日 19時) (レス) id: 078dcaab9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:orange | 作成日時:2021年3月21日 20時