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四十六話 ページ48

エペルの一歩後ろから、後を追うように見送っている時に、妙な人だかりを感じた。
 前を見て見れば、少し様子のおかしいヴィルさんと、ネージュさん、それに俺のことを面接で褒めてくれた金髪ショートカットの先輩。
 
 嫌な予感を感じた最中、「ここに戻ってはいけない」とショートカットの先輩が真剣なまなざしでネージュさんに言ったきり、ネージュさんは走ってステージのほうへ戻ってしまった。


 よりによって、鉢合わせしてはいけない相手と合ってしまった、と念のため。


「エペル」


 と声をかけてヴィルさんに近寄っていこうとしたエペルの肩を強引だが掴む。


「A……?」


 とぽかんとこちらを振り返ったエペルに、少し申し訳なくなってくるが、親指を後ろの方に差し、知らないような口調で言い張る。

「あー、そういや、エペル。言い忘れてたんだが、学園長がお前に話があるんだってよ。さっき伝えとけって言われてたんだけど俺が忘れててな。結構急ぎらしいから向かっててくれ」

 目を見開いたエペルは数秒黙った後、「そっか、それは急がなきゃ!」とパタパタと細腕を賢明にふってこの場から去っていった。

 エペルは俺の嘘に気づいたのかなんなのかはよくわからないが、取り合えず、ヴィルさんから人を離さなければならない。影から様子を見守っておくと、奥ではヴィルさんが、両手で顔を覆うったままだった。身体が痙攣するように震えている。

 青白い顔で、不気味にほほ笑むその姿は、狂気的で美しかった。

 
 一瞬見惚れた途端、俺の背後から厳戒態勢をとった植物達が勢いよく生えてきた。ぎょっとして目を見開いた瞬間、Aが叫ぶ。


「全員、今すぐヴィルさんから離れろ!!」


 俺の声が響き渡り、勢いよくこちらを驚いたように見つめたカリムさんや他の生徒が動こうとした瞬間、ヴィルさんの魔力が爆発した。

 辺りを黒い霧が覆うのを見て、瞬時にAは歌いだし、溶け出す壁や床に沿うように植物達は張り巡らした。
 
 カリムさんや他の生徒をいち早く非難させ、ジャミルさんが空飛ぶ絨毯でここから離れるのを見た瞬間。

 ドンッと強い衝撃が腹をえぐった。


「あ゛……!?」


 倒れ込む先で、見覚えのある高いヒールがあった。ヴィルさんに腹を蹴られたのだ。

 なぜ?と訊こうとしても声がでない、ごほっとむせた目で見えたのはブルブルと痙攣した自身の手だった。

 _やばい、毒を吸いすぎた。
 

終わり←四十五話



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レオ - とっても面白いです。続きが気になります。 (1月4日 8時) (レス) @page48 id: 8c9a5c91e3 (このIDを非表示/違反報告)
夕闇柳 - たまたま30話見ていてカリムがカルムになっていました。 (11月25日 8時) (レス) @page31 id: a9dd4c9262 (このIDを非表示/違反報告)
ウイ(プロフ) - ふぎょあ、完結されてるんですね…この作品、めちゃ好きです。まだ占ツクにログインしてなかった頃、読みまくってました笑 ねっとり様に届くか分かりませんが、更新、お疲れ様でした。ほんとに本当にこの作品がこれからも大好きです!!!!!! (6月26日 7時) (レス) @page48 id: 154e73901c (このIDを非表示/違反報告)
ねっとり - 雨中猫さん» アカウントを作っていなので急遽この形ですが作者です。コメントありがとうございます。「命に嫌われている」素敵ですよね、番外編でも他の歌とかも書いてみたいので気長に待ってくれると嬉しいです (2022年2月5日 23時) (レス) id: ad0790befa (このIDを非表示/違反報告)
雨中猫 - 主人公ちゃんに命に嫌われている歌ってもらいたいです! (2022年2月4日 19時) (レス) @page27 id: 79b86edfa1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねっとり | 作成日時:2022年1月20日 16時

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