ｼｭｶﾞｰｼｭｶﾞｰｼｭｶﾞｰ (ページ39)

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ｻｲﾄﾞｽﾄｰﾘｰ ④ ページ39

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　海の家を出て話しながら海辺を歩く。

　夕日が落ちてきて辺りは薄暗くなっている。

　「どうしたん？外出て」

　彼女から聞かれた。理由はな水田くんと話してるの見て嫉妬したんや。なんて言えるはずもなく嘘をつく。

　｢眠気覚ましや｣と。

　彼女はふーん。と腑に落ちない様だったが景色を見た途端表情が変わった。

　｢うわぁ見てめっちゃ綺麗！」

　オレンジ色に染まった太陽が地平線の近くまで沈んでいる。

　海に光が反射し一本の道ができているみたいだ。暖かい色がさっきまでの僕の黒い感情を吹き飛ばしてくれる。

　実際、一緒に居たいだけ。夕日なんてその口実に過ぎないわけで。

　「ほんまやぁ。座って見ぃひん？」

　Aの隣でその景色を眺める。今思えば自分から誘ってばかりで彼女からというのはあまりない。

　ちょっとは気づいてもええんちゃう？
　僕、気になってもいない女性と2人きりになることなんかないよ。

　鈍感なんかな。鈍感だったら最悪や。ただでさえ素直になれへんのに。もうええ歳よ？拗らせたら終わりやん。

　そんなくだらないことを1人で考えて悩むの繰り返し。ふと視線を感じて振り向くと彼女と目が合った。

　「何見てんの。もしかして惚れたんちゃう？」

　意地悪をしたくなって半分冗談、半分願望を言ってみる。

　「うん。惚れた」

　しかしすぐに自分が言った言葉に後悔した。

　オレンジの光が反射しているニコッと笑う顔をみてきゅうと胸が締め付けられる。いつもみんなに見せているその笑顔が今だけはこの瞬間は自分だけの物に思えて抱きしめたくなる。

　そんなことは出来るはずがないのに。気持ちだけが空回りして上手くいかない。

　この関係が壊れるのを恐れている自分がどこかにいる。

　ああ、もう、なんやねん。ただの弱虫やん。

　あと2文字が言えない。好きの2文字が。

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