霊力強化合宿 玖 ページ19
隣を歩いていた女がワイの前に躍り出る。
此方へ微笑む女。道の端に咲いた小さな花のような、控えめでありながらも輝かしい笑顔。
普通なら見とれている所だろうが、ワイは1時間ほど前にコイツに思いっきり煽られている。ぶん殴るぞテメェ。
「はい。なんでしょうか」
ワイの返答は酷く冷淡なものだった。もう半分棒読みだった。
「私…貴方に酷いことをした。ええ、とてもとても…それは酷いことを…」
はい。そうですね。ところで語彙力低下してません?
「だからね!」と女は唐突にこちらの手を掴んだ。振りほどきたいけど背後のとと様が無言で制した。
「お詫びに、Aちゃんの力になりたいの!手助けする!」「承服しかねます」
おっとつい本音が
「やだ!Aちゃんに詫びるんだ!だからお願い!」
「もう良い。主から離れろ」
とと様が割り込んできて、女に握られた手が離される。
「お前は我が主を散々侮辱し、ひいては呪具を使ったなどあらぬ疑いを掛けた。そのお前に急に力になる等、手の平返しも甚だしい」
とと様の声色は何時もと違った。ああ、怒ってるんだろうなと瞬時に察した。
それに女も気づいたようで顔が青くなる。
「お前は詫びる。と言ったな?誠意を示したいのであればここで頭を垂れろ。そして我らに二度と関わるな」
「ちょ、ちょっと待ってとと様!」
怒ってる時のとと様のオーラ怖すぎだよ…庇われてるワイも怖くて足ガクガクしてるよ…ほらもうあの女見てよ、顔真っ青にしてガタガタ震えてる。流石に可哀想…
「…も、申し訳ございません!」
と、此方に走って来たかと思いきや思い切りスライディング土下座する影が1つ…
「ま…前田くん!」
青ざめた顔をした女が悲鳴を挙げた。
「貴方方に我らが働いた無礼により、貴方方が深く傷つけられた事、心よりお詫び申し上げます。土下座なら僕が幾らでもします。ですから、主君を怖がらせるような真似はどうか…」
「ちょ!?え、いや、その…あの、土下座するまでもないです!顔上げてください!」
ワイより遥かに年上とはいえ、土下座をしている前田藤四郎は見た目完全にショタだ。見た目だけでもショタに土下座されるとかすっごい罪悪感。
「とと様、もう大丈夫だから…ね?前田藤四郎さんも顔上げてください…」
おずおずと言った様子でとと様の方をちょんちょんと突くと
「…我も、やりすぎたわ。」
と、いつもの苦笑を浮かべていた。
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元ナマズソテー(プロフ) - 作者です。諸事情によりアカウントからログアウトしたままログイン出来なくなりましたので、こちらの作品は更新できなくなりました。活動自体はこれからもしていこうと思うので、平家刀の小説見つけたら私だと思ってください。いままでありがとうございました (2023年2月17日 17時) (レス) id: 604407214b (このIDを非表示/違反報告)
ナマズソテー(プロフ) - 審神者ちゃん可愛いかよッッ!!さん» コメントありがとうございます!竜胆さんに目を付けるとはお目が高い!最近更新出来てませんが気長に待ってもらえると嬉しいです! (2022年12月26日 12時) (レス) id: 604407214b (このIDを非表示/違反報告)
審神者ちゃん可愛いかよッッ!! - 御神刀達は何をしているのか…予想はするけどめっちゃ気になるッッ!ほんと竜胆さんとか性格めっちゃ最高です続き待ってます!更新頑張って下さい!! (2022年12月26日 7時) (レス) @page25 id: 1ac35838e6 (このIDを非表示/違反報告)
ナマズソテー(プロフ) - 蜂蜜パスタ(閲覧垢)さん» コメントありがとうございます!彼女達はこの先どうなるのでしょうね…楽しみにして頂ければと思います! (2022年12月9日 7時) (レス) id: 604407214b (このIDを非表示/違反報告)
蜂蜜パスタ(閲覧垢)(プロフ) - こういうノリ、私は結構好きです。夢主ちゃんがこの先どのように強くなって本丸を取り返すのか楽しみです。応援しています。 (2022年12月9日 4時) (レス) @page17 id: c07d8ae3cf (このIDを非表示/違反報告)
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