12話 ページ14
Aが料理をしている間に、キッチンから良い匂いが漂い始めた。
この12年でAも、随分女性(?)らしくなったような気がするが、昔エマが言っていた「花嫁修業」の成果だろうか?
「…なんだ、マイキー?寂しいのか?」
Aのことをジッと見ていたら、その視線に気付いたらしく、やけにニヤニヤした顔を向けてきた。
「さ、寂しいわけじゃないし…ただ、Aが昔より可愛く見えるから」
「昔よりって何だよー」
そうこうしている間に2人分のオムライスが出来上がったらしく、ふわふわした湯気が、出来たてだということを強調している。
「おまたせ。…今日は旗ないけど、今度はちゃんと用意するからな」
「…ありがと、A」
「おー。無理はしなくていいけど、ご飯はちゃんと食べてくれよ、マイキー」
「うん。じゃあ…いただきます」
Aが作ってくれたオムライスは、昔よく食べてた包む奴じゃなかったけど、全体的にとろとろしていて、スプーンですくってみると、スポンジケーキみたいにふわふわした感じに見える。
「ん…美味しい」
卵の焼き加減がちょうど良くて、ライスやケチャップが美味しく感じる。…そういえば、Aは実家が飲食店営業してるんだっけ。
「良かった。…それに、久しぶりに子供っぽい顔のマイキーを見れたよ」
「…?」
「キラキラした目してる。さっきまではちょっと暗く見えたからな」
こんな俺でも、ちゃんと生きれる道は確かにあったんだな…
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作者名:米グルイ | 作成日時:2022年8月22日 22時