７０ ページ21
ついさっきまで私の隣を一緒に歩いていたはずの快斗。
しかし何故か今彼は私の斜め後方で停止していた。
「…快斗さん？」
「おーい」
何かあったのかと思うぐらい微動だにしない快斗が心配になり、私は俯いていた彼の顔を覗き込むように首を傾けた。
「快斗？」
私と快斗の視線がかち合ったその時。
快斗はにやにやとした笑みを浮かべて呟いた。
「オメー俺のこと大好きだな」
「……はいぃ？」
特に深く考えずにつらつらと言葉を並べていたから、何か変なこと…快斗の気に触るようなことを言ってしまったのではと焦ったのは全くもって見当外れだったようで。
ふざけたことを吐かす快斗が別の意味で心配になる。
たぶんだけど、こいつは私を超えるレベルのあほだ。へたしたらスットコドッコイかもしれない。
「もしかしてだけど、頭ぶつけた…？」
「いんや全く？そんなに褒めっから、俺のこと大好きなのかなーと」
「めっっっちゃ調子乗るじゃん、すんげぇ乗るじゃん」
「そうかそうかぁ〜！」と言いながら私の頭を雑に撫で回し始めた快斗に、私は「あばばばばば」と奇妙な声を出しながらもみくちゃにされる。
楽しそうにケラケラ笑う快斗と暴れる私。２人ともきっと暑さでやられてしまってるんだろう。もはや収拾がつかない。
「まじやめろ！お前それでも怪盗紳士か！？」
「おっとそれは失礼。大丈夫ですか？お嬢さん」
「変わり身の速さにドン引きだよこっちは…てか快斗のせいで大丈夫じゃないよ完全に…これが大丈夫に見えるならお前の目は節穴極めてるからとりま眼科行け？いいとこ紹介する」
私がそう早口で捲し立てれば快斗が楽しそうに笑い出す。それにつられて私も笑ってしまった。
「まったく…照れてんならそう言えばいいのに」
ポーカーフェイスを得意とする快斗だけど、残念ながら耳まではうまく隠しきれてなくて。表情は至っていつも通りのうざい顔なのに、月明かりに照らされた耳が少しばかり紅くなっているのが誤魔化せていなかった。
「照れてねえっての」
「耳を鍛えるのは快斗のほうなんじゃね？」
「…うっせ」
まるで彼を煽るように笑ってやると快斗はいじけた子どものようにそっぽを向いてしまった。
快斗はどストレートな言葉に弱い。これはしっかり記憶しておくべきだ。めちゃくちゃ良いネタでしかない。
「快斗の弱みを握ったので今日はぐっっっっすり眠れそうです♡」
「オメーはいつでも爆睡だろうが！」
「まあ実はそう」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 305人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「怪盗キッド」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柯(プロフ) - ミュウトさん» コメントありがとうございます。こちらも返信遅くなってしまい申し訳ないです。亀更新を極めて恐らく亀より遅い歩みになってしまっていますが、更新は続けていくつもりなのでこれからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします😊 (2022年10月30日 22時) (
レス) id: d03fcb85aa (このIDを非表示/違反報告)
柯(プロフ) - たろ。さん» コメントありがとうございます。そして返信が驚く程に遅くなってしまい申し訳ないです。夢主ちゃんは強い子(物理)なのでこれからもっと凄いことをする…かもしれません。どうぞお楽しみに！ (2022年10月30日 22時) (レス) @page38 id: d03fcb85aa (このIDを非表示/違反報告)
ミュウト(プロフ) - また戻ってきてくれて嬉しいです！！主様のペースで全然構わないので、ゆっくり更新お待ちしてます(о´∀`о)✿応援しています！！！ (2022年9月26日 23時) (レス) @page37 id: 416a70e64b (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 最高。夢主かっこいい。ブチギレたときタマ踏みつけるぐらいしてほしい。w (2022年3月9日 20時) (レス) @page31 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柯 | 作成日時：2021年7月26日 16時
