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『別れたんでしょ、彼氏と』
「うん」
『じゃあ、もう俺、好きなようにするから』
「好きなように？」
『そう。十年待ったんだから、それくらい許してくれてもいいと思うんだけど』
「…なに？どうするの？」
『今すぐにはAの気持ちは変わらないと思うけど、いつか絶対こっち向かせるから。わかった？』
「え？マジで何？笑」
『わかんないふりしてるじゃん、わかってるくせに』
「いやいやいや、ほんとにわかんない」
『じゃあ、どういうことか知りたい？』
何も言わず、こちらを潤んだ目でじっと見て、頷いた。
その何気ない動作ひとつでさえも、俺の心を揺さぶるのに充分な力を持っていた。
『俺、大好きなんだ。Aのこと』
そう伝えると、Aは驚いたように目をぱちぱちと瞬かせた。
『Aがあいつと付き合ってた十年。その十年よりも前から、今もずっと好き。ずっと変わんなかった。自分でもびっくりしてるけど』
「…ごめん、全然知らなかった」
『そりゃ知られないようにしてたもん笑 わかんないと思うけどめちゃくちゃキツかったわ、この十年』
惚気話を聞くのはもちろん、喧嘩をしたという愚痴でさえも、二人が本気で向き合っていることの証のように思えてつらかった。
『今すぐ何を変えようとかじゃないけど、とりあえず、言わないと気が済まなかったから言わせてもらった。ごめんな、困らせて』
まだ理解ができていない様子で目を真ん丸にさせているAを見ていると、なんだかちょっとおかしくなってきた。
『はは、なに、びっくりしてる？』
「そりゃするでしょ…」
『ま、とりあえずそういうわけだから。覚悟しといて、ってこと』
「覚悟？」
『俺を好きになる覚悟？笑』
「なにそれ自信満々じゃん笑」
『絶対振り向かせてやるから笑』
さぁ、これからどうしようか。
頭の中で、ああでもないこうでもないと戦略を練りながら、すこし表情に明るさが戻ったAを見る。
『うわー、やっぱなんか、めちゃくちゃ好きだわ』
「もういいって笑」
その満更でもなさそうな笑みがまた俺の胸を締めつけて、離さない。
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ぐり - 初めまして！雰囲気が好きですべて一気読みさせてもらいました🥹マユリカ阪本さんのお話読みたいです。時間がありましたらぜひお願いします(^^)v (5月11日 13時) (
レス) id: 0e2050f731 (このIDを非表示/違反報告)
とこ(プロフ) - いつもにやにやしながら読ませて頂いてます！ リクエストなのですが、ヤーレンズの出井さんのお話お願いできませんでしょうか？？哀さんのペースで大丈夫なのでよろしくお願い致します！ (2023年4月22日 22時) (レス) id: 6bae7fb429 (このIDを非表示/違反報告)
まゆゆん - 哀さん» こちらこそありがとうございました！素敵なお話でした✨ (2023年4月9日 11時) (レス) @page42 id: 4336aaf71d (このIDを非表示/違反報告)
哀(プロフ) - まゆゆんさん» リクエストをいただいていた多田さんのお話を公開しました。コメントを読み違えてしまい、彼女設定ではありません。申し訳ございません🙇🏻♂️リクエストありがとうございました！ (2023年4月9日 9時) (レス) id: 8ce96fbb9e (このIDを非表示/違反報告)
P-398(プロフ) - リクエストです！D.Shibaさんの恋人だった主人公が事故で亡くなってしまう話を（死ネタ不可でなければ）お願いします！ (2023年3月17日 17時) (レス) id: 2cc94b219c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：哀 | 作成日時：2022年5月5日 10時
