邪魔 ページ35
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少しずつ料理が運ばれてきて、テーブルが鮮やかになっていく。
永「好きなだけ食べてね」
『ありがとうございます、永見さんももっと食べてもっと太ってください』
永「僕はいいよ」
『いやほんまに心配なんで、自炊もしないでしょ?』
永「そうやねぇ」
『マジでいっぱい食べてください』
永「ありがとう笑」
取り皿に好きなものを乗せて、好きなものを好きなだけ食べる。
美味しい料理に活力をもらっていると、スマホが振動した。
ポケットから取り出したそれに映る“九条”の文字を見て、通話拒否のボタンを押す。
せっかく永見さんと楽しく飲んでいるのに、九条さんに邪魔されるというようなことは絶対に許されない。
しかし、あの人も懲りずに何度も電話を鳴らしてくる。
『すみません、電話…』
永「うん」
仕方なく、鳥の唐揚げを食べている永見さんを残し、外に出た。
『もしもし』
九「もしもし、忙しかった?」
『いえ』
九「じゃあもっと早く出てや笑」
『永見さんと飲んでるんで、邪魔されたくないなぁと』
九「あーごめんごめん、邪魔してもて」
『用件は何ですか?』
九「えー、今から会えへんかなぁって」
『私は九条さんの彼女ちゃいますよ』
九「ちゃうけどさ、Aと飲みたかったから」
『申し訳ないですけど、無理です』
九「じゃあ明日は?」
『無理です』
九「明後日は?」
『無理です』
九「いつならいい?」
『いつでも無理です』
九「理由は?」
『私は別に会いたくないので』
九「相変わらず僕に当たり強いね」
『ていうか、明日も明後日も私に会いたいと思える確証あるんですか?』
九「んー、ないけど、あるかも」
『…やっぱり九条さんにはついていけそうにないです』
九「今はまだ、明日も会いたいと思うやろな、っていう確信はないけど、
やけど、僕、実は一昨日も昨日も、Aに会いたかったよ」
『…なんか、痛いっすね』
九「ふふふ笑 やからね、多分僕は明日もAに会いたい」
『そうですか』
九「良かったね、こんなにも自分のことを考えてくれる人がおって」
『それがよりによって九条さんとはね』
九「なぁ、会お、明日」
相変わらず、何を考えているかわからなくて怖いし、嫌いだし。
だけど、なぜか笑みがこぼれた。
『ふふ、いいですよ、会いましょ』
九「ほんま!?」
『はい』
九「じゃあ、明日」
『はい』
電話越しの嬉しそうな声。
まだ、好きにはなれないけれど。
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ぴの - お返事ありがとうございます!遅くなってしまって申し訳ないです😢えぇほんとですか嬉しいです(T-T)期待しています笑続編も嬉しかったです😢♡これからも更新楽しみにしています☺️頑張ってください! (2022年2月18日 23時) (レス) id: 07f35b63aa (このIDを非表示/違反報告)
哀(プロフ) - ぴのさん» 温かいお言葉をありがとうございます( _ _ )!結末についてはお話できませんが、これからも変わらず読み続けていただけると嬉しいです🤍くるまさんメインの作品についても考えてみようとおもいます。今後ともよろしくお願いいたします! (2022年1月22日 2時) (レス) id: c39e85b81e (このIDを非表示/違反報告)
ぴの - (続き)いつかくるまくんメインの作品も見てみたいです。これからも更新楽しみにしています。頑張ってください。 (2022年1月15日 0時) (レス) id: 07f35b63aa (このIDを非表示/違反報告)
ぴの - 初めまして。いつも楽しんで拝見しています。作中の芸人さんで特別応援してる方はいなかったのですが、主様が書かれるくるまくんが素敵すぎて令ロのことが好きになりました笑。名前の出順的にくるまくんは報われないのかななんて思い少し悲しいです(TT)笑 (2022年1月15日 0時) (レス) id: 07f35b63aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:哀 | 作成日時:2021年7月23日 16時