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盗人を上から押さえ込んでる康二さんに、後から亮平さんと二人追いつく。
「康二さんっ、大丈夫？」
「おう！俺は大丈夫やで！」
「っ！ 離せよっ！」
「ん、なんか若くない？」
バタバタと暴れる盗人の前に回り込んで膝をつくと、盗人の被り物をするりと解いた亮平さん。
するとなんてことでしょう、こんなに綺麗なお顔を見たのは佐久間様ぶりな、でもまたあの方とは違う顔立ち……というかまだ幼い子供？
「…君、孤児だね？」
「………」
よく見れば薄汚れた着物に顔も砂を被ってる。
背は高くてもまだ子供の少年は大人に囲まれて観念したのか、大人しくなって地面に突っ伏した。
「ねえ君、手荒な真似をしてごめんね。もう逃げないよね？」
いつまでも子供を押さえ込んでるなんて可哀想で、頷いた彼を信用して康二さんに拘束を解いてもらう。
木陰に移動して少年を木の幹の根元に座らせれば、ぐうううっといつぞやの私のように腹の虫を盛大に立てた。
少年から返してもらった荷物から団子を取り出して少年に渡すと、亮平さんも康二さんも驚きに目を見開く。
「お人好しやなー」
「子供でも盗人だよ」
そうだとしてもだ。
「盗まなきゃ駄目なほど、切羽詰まってたんでしょ。ほらお食べ」
孤児なんてそう珍しいものでもない。
私だって本当の両親は知らないし、たまたま運良く優しい夫婦に拾われたから今こうしてスクスクと元気にやっていられるんだ。
彼はその逆で、一人で生きていかなきゃいけない過酷な運命を背負ってしまったんだろう。
団子一つ上げたくらいで彼の未来が変わるわけじゃないけどさ。
「…要らねえよ！ 情けなんて要らねえ！」
ばっ！と払いのけられてしまい、団子は虚しく地に落ちる。
「なっ！ お前ええ加減に、」
「……はい」
地に落ちた団子を拾い、砂を払ってもう一度少年に差し出す。
ふざけてるのかって私と団子を交互に見て睨む澄んだ瞳。
「この団子はね、私たちのために想いを込めて作ってくれたものなの。だから一つも無駄にしたくない。わかったら食べなさい」
「………」
食べ物を無駄にするやつは許さん。
「……姫さんって怒らせたらあかんタイプかもな？」
「だね」
少年はグッと悔しそうに眉を顰めて、汚れて傷だらけの手を伸ばして串を掴んだ。
大きな口を開けて、団子を一つパクッと頬張って「美味いや」と鼻を啜ったのは見なかったことにしよう。
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ゆきんこ(プロフ) - 佐久間推しさん» コメントありがとうございます！一気に読んでもらえて光栄です。続きもそろそろ終盤ですのでどうぞ楽しんでください(^^) (2020年11月22日 23時) (
レス) id: 0a7632b1c0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 佐久間推しさん» コメントありがとうございます！一気に読んでもらえて光栄です。続きもそろそろ終盤ですのでどうぞ楽しんでください(^^) (2020年11月22日 23時) (レス) id: 0a7632b1c0 (このIDを非表示/違反報告)
佐久間推し - お話が面白くて一気に読み進めてしまいました〜！！続きも楽しみです！ (2020年11月21日 8時) (レス) id: b5372a6ba4 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - しーさん» ありがとうございます！！お話書かれてるんですね！？よし見に行かねば！！ いえいえ彼への愛があれば素晴らしい作品のはずです！一緒に楽しんで書きましょうね(^^) (2020年11月4日 9時) (レス) id: d7a99168d6 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - しーさん» 鬼佐久間さんに是非惚れてください（笑）食べられて良いなんて言っちゃったら、今夜辺りに来ますよ？（笑）まだドキドキシーンがあると思いますが楽しんでほしいです！ありがとうございました！ (2020年11月4日 9時) (レス) id: d7a99168d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆきんこ
| 作成日時：2020年10月24日 1時
