記憶を失った鬼姫

story.16 ページ19

Aside






A「すごい……。」




椿姫のあっという間の回復術に私は感動の声を漏らす





椿姫「そんな……Aには負けますわ。」



そう言って彼女は照れくさそうに笑う




A「いいえ、ありがとうございました。椿姫さん？」





椿姫「いつも呼んでくれていたように"椿"で結構ですよ。

記憶は失っていても私達は友達ですからね！


私に力になれることがあればなんでも言ってください。」


A「うん、ありがとう。椿。」



椿を不安にさせないためにも笑ったけどちゃんと笑えたかな？



うん、多分笑えたと思う



その証拠にナツメも椿も笑っているから









そして怪我も治してもらったところで




私達は病院にやって来た





ナツメ「ここで間違いない？」



A「ええ、ここだわ。」




ナツメ「じゃあ、ちょっと聞いてくるわね。」




A「私も行くわ。」




私は妖怪の姿になってナツメの隣に浮いてみせる




ナツメ「わぁｯ……////。妖怪の姿でもものすごい美人さんね、Aは。本当に羨ましい。」



ナツメは頬を赤く染めて笑う



A「ナツメ方が私なんかよりよっぽど可愛いわ。そんな無理に褒めなくていいから。」




褒められることに慣れてなくて私は素直に受け止められず、冷たくそう言ってしまう



ひどい奴ね、私は




ナツメがせっかく言ってくれた言葉をかき消してしまうような真似をして


こんなんじゃ嫌われたのも同然ね



絶対ナツメは何なの、コイツとか

絶対に良く思ってない、きっと怒ってるわ





私はそんな彼女をチラリと見ようとすると







____________ｷﾞｭｳｯ





A「え……ｯ！？ちょっと……！」




彼女は私を抱き締めてこう言った




ナツメ「無理やり褒めるなんて、そんなことないわ！私の本心よ？

自分を非難しないで、A。もっと自信持っていいのよ。

Aの可愛さは、誰にも負けないから！私が保証するわ！」



ナツメは私から離れて、自分の胸に拳をポンと当てる



私はナツメの予想もしていなかった言葉に驚いて、目を見開く



そして、口元が緩み、盛大に笑ってしまう





A「プｯ……、アハハハｯ…！何よ、それ。

なんでナツメが自信満々なのよｯ！もう、可笑しい。フフｯ…、笑わせないでよ……ｯ。」




私はお腹を抱えながら、笑う



なんだか面白くって笑いが止まらない




こんなふうに笑ったのはいつぶりかしらね？

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