305号室のユンギくん。

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—YG side




腕に絡みついたヌナをなだめながら
なんとか部屋に入れることができた。
ソファに座らせて、
冷蔵庫のペットボトルの水を取り出した。



『おい、ヌナ、水。』

「んー…」

『…チッ…どんだけ飲んだんだよ…』

「のませてー」

『は？』

「あーん」

『ちょ…何言って
「ん、」




キスをするように、口をすぼませてせがんでくる。
欲望と戦いながら、
ペットボトルの水をヌナの口に含ませた。
しばらく俺の肩にもたれて休んだ後、
だいぶ落ち着いた様子だったから部屋まで送った。




『もう大丈夫だな？』

「ん…」




ソファに座ったヌナは俯いたまま、
小さく頷いた。




『じゃあな。鍵、ちゃんと閉めろよ？』

「……って、」

『あ？なに？』





「待って、」
と、Tシャツの裾を引っ張ってきた。



「帰って欲しくない…」



まだ酔っているのだろうか。
その言葉にびっくりしたが、ソファに座って
話を聞くことにした。




『さっきの、元彼だろ？』

「…ん……」

『今日飲んだのも、そいつのせい？』

「んー…ちがうけど…ちがわない…」

『なんだそれ…。』

「……戻ってきたんだって。」

『ん？』

「向こうでの仕事終わったから、戻ってきたって。
　今日は、そのおかえりの飲み会だった。」

『ふーん…』

「また部屋来たいって言われて…
　なんかムカついて、いっぱい飲んだ。」

『部屋……か…
　入れんの？』

「んー…わかんない……
　冗談かもしれないし。
　もう、会うことないって、思ってたのになぁ……」





様子が気になってヌナを覗き込めば、
また泣いていた。
そっと、涙を拭った。





『…なんで泣くの。』

「……っ…わかん…ないっ……」

『やっぱ好きなんじゃん。』

「ちが…！ちがう…」

『ほら、やっぱ未練あるんだろ？
　じゃなきゃ涙なんて出ねぇ。』

「うぅ……どうすればいいかわかんないの…」

『どうすればって？』

「部屋来たいって言ったのが本気だったとして、
　うちにきて、もしやり直したいって言われても、
　断る自信がない…。」

『なんで断る前提なの？』

「だって…どうせまた別れるに決まってる……
　もうあんな辛い想いするくらいなら
　誰とも一緒にいたくない……」

『じゃあそうやってずっとひとりで生きてくの？』

「そ、そうだよ……
　いいもん…
　また悲しくなるくらいならひとりのほうが
『俺は…



　俺は、ヌナの隣で生きていきたいけど、
　…それもだめなのか？』






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